シリア領内でロシア軍が行った空爆や、各勢力が支配する地域を示した図。(c)AFP
【10月2日 AFP】ロシアがシリアで開始した空爆について、専門家らは、最も大きな被害を受けたの同国政府とイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」の両者に対抗する反体制派勢力であり、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領をあらゆる敵から守るというロシア政府の決意を示しているとの見解を示している。
また、ロシア政府の攻撃目標からは、アサド大統領を救うため、それが過激派であろうとなかろうと、全ての反体制派集団を攻撃する意図が読み取れると、専門家や監視団体は指摘している。
「ロシアがシリアに介入したのは、ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)だけでなく、テロリストとみなす全ての集団を攻撃するためであり、これには湾岸君主国とトルコが支持する組織も含まれる」と、シリア専門家のファブリス・バランシュ(Fabrice Balanche)氏は説明する。
ワシントン近東政策研究所(Washington Institute for Near East Policy)に寄稿した分析記事の中で同氏は「ロシアの空爆の第1波は、アサド政権のアラウィ(Alawite)派中核地域を脅かしている反体制派の地域に集中していたとみられる。これは、ロシアが対テロリスト闘争よりもシリア内戦での主導権の獲得に重点を置いていることを示している」と指摘している。アラウィ派とは、アサド一族が属するシーア派(Shiite)の一派。
ロシア軍がここ2日間で実施した空爆の標的は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の武装組織「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」や、強力なイスラム系反体制武装組織「アフラル・シャーム(Ahrar al-Sham)」、そしてより小規模の穏健派勢力が掌握している地域だった。これら穏健派勢力には、米国やアラブ諸国から直接支援を受けているものも含まれる。
空爆は北西部のイドリブ(Idlib)県、沿岸部のラタキア(Latakia)県、中部のホムス(Homs)県とハマ(Hama)県で実施されたが、これら地域はいずれもISの活動地域とはされていない。
■目的は「アサド政権支援」
アナリストらによると、ロシア空軍は、ラッカ(Raqa)県のようなISが最も強い勢力を維持している地域ではなく、アサド政権が最も脅威を受けている地域に攻撃を集中させている。
独立系シンクタンク「国際危機グループ(International Crisis Group、ICG)」のピーター・ハーリング(Peter Harling)氏は「ロシアの目的は政権の防衛だ。この点において、非イスラム過激派の反体制武装勢力は最も差し迫った脅威となる」と述べている。
また、在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は、「ロシアは、アラウィ派地域が脅かされたり、攻撃されたりしているホムス、ハマ、ラタキアの各県で政権を支援するために空爆を行っている」と指摘している。(c)AFP/Rana Moussaoui
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