精度向上に力、研究開発投資も対象に
内閣府は国内総生産(GDP)統計の作成基準を5年に一度改定している。次の改定は2016年度。08年に改められた国際基準も取り込んで、GDP統計の精度を高めようとしている。
次回の改定の柱となるのは企業の研究開発投資を投資として計上することだ。今の基準では経済的な利益を直接生み出す投資ではないとみなされ、計上されていない。
13年に新しい国際基準に切り替えた米国では、02〜12年の名目GDPの実額が3.0〜3.6%増えた。14年に切り替えたドイツも10年のGDPが2.7%上振れした。
内閣府の試算では、研究開発投資を算入することで01〜12年の名目GDPは3%強膨らむ。国内の生産設備を増強する投資が伸びにくいなか、研究開発投資の重要度は増している。ただ、成長率に及ぼす影響はごくわずかだ。
内閣府は今年1〜3月期の統計から、それまで速報では公表していなかった民間企業の在庫投資の内訳を開示した。景気の変わり目では在庫の積み上がりや取り崩しが生じるため数値が大きく変動する。民間調査機関の予測にも役立つとの指摘も出ている。
各国ともGDP統計の精度向上に力を入れている。世界3位の経済規模を持つ日本も一段の改善努力が必要だ。
[日経新聞9月21日朝刊P.3]