集団的自衛権行使容認・安保法制の賛成論・反対論の比較 !
T 賛成論の学者の主張 !
集団的自衛権の本質突く議論を 大阪大学大学院教授・坂元一哉
(www.sankei.com:2015年7月8日 より抜粋・転載 )
国会で審議されている安保関連法案について、多くの憲法学者から、たとえ限定的であっても、集団的自衛権の行使を容認する法律は、憲法違反ではないかとの批判が出ている。
政府と与党が、長い時間をかけて慎重に検討した重要法案だけに、そうした基礎的なところに批判が出たことは、残念というしかない。
だが、専門家がそう批判する以上、政府は、集団的自衛権の限定行使を容認する新しい憲法解釈に基づく法律が、なぜ憲法違反ではないのか、国民に対し、より一層、丁寧かつ分かりやすく説明する必要があるだろう。
≪平和主義は「無防備」ではない≫
いうまでもないことだが、ある法律が憲法違反にあたるかどうかを最終的に判断するのは、最高裁判所の仕事である。その意味で、いま政府が、集団的自衛権の限定行使を容認する法案が憲法違反にあたらないとするのは、学者の批判が正しいか正しくないかは別にして、この法案が国会の審議を経て現実に法律になり、その法律に関連して訴訟が起こっても、最高裁判所が憲法違反の判決を下すことはない。そう判断している、ということだろう。
その判断の根拠は何か。政府が説明に使う最高裁の砂川事件に関する差し戻し判決(1959年)は、憲法の平和主義が「決して無防備、無抵抗を定めたものではない」と述べたうえで、わが国が「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと」だとしている。
またこの判決は、たとえば安保条約が違憲かどうかというような「主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有する」問題は、「一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外」との判断も示している。
この砂川判決を前提にすれば、将来、最高裁判所が政府がいう意味での集団的自衛権の限定行使について違憲判決を出すようなことはない。政府はそう判断しているのだろうが、私には、ごく当然の判断のように思える。
≪議論混乱させた舌足らずの説明≫
というのも、政府が新しい憲法解釈でできるとする集団的自衛権の限定行使のための武力行使は、あくまで砂川判決にいう、国の「存立を全うする」ための、「自衛のための措置」としての武力行使、それも必要最小限の武力行使だからである。それが「他衛」にもなるからといって、最高裁が「一見極めて明白に違憲無効」と認めるとは考えにくい。
むろん、この安保関連法案が、国会審議を経て法律になった後、万一、最高裁がその法律を違憲だと認めれば、法律は、改正しなければならない。その前提で法案を審議するのが立憲主義のルールだろう。
最高裁の砂川判決に関連して、憲法学者のなかには、この判決でいう「自衛のための措置」は、「個別的自衛権」のことであって、集団的自衛権は含まれない、と議論する人がいる。
国際法上の集団的自衛権の意味を誤解した議論だと思う。「
自衛のための措置」とは、もちろん自国を守るための措置のことだが、個別的自衛権も集団的自衛権も、どちらも自国を守るための措置として、国家に認められた国際法上の権利だからである。
この点、国会に参考人として呼ばれた、元内閣法制局長官が、集団的自衛権の本質は「他国防衛」だ、と述べたことには考えさせられた。
歴代政府のそういう舌足らずの説明こそが、議論を混乱させてきたのではないだろうか。
≪死活的な地域の防衛は、自衛措置≫
もし集団的自衛権の本質が他国防衛なら、なぜその権利を「自衛」権と呼ぶのか。また日米安保条約では米国は、この権利に基づき日本を助ける(武力攻撃に共同対処する)ことになっているが、それは日本への武力攻撃が米国の「平和及び安全を危うくする」(第5条)からである。米国にとって日本防衛は「自衛のための措置」ではないのか。
集団的自衛権という言葉は、個別的自衛権と同じく、国連憲章(45年)ではじめて使われた言葉である。だがこの権利の考え方自体は、それ以前から存在していた。それがよく分かるのは、英国が、国際紛争解決の手段としての戦争を禁じた不戦条約(28年)を結ぶ際に、自衛権に関して付けた留保である。そのなかで英国政府は、世界には英国の平和と安全に「特別で死活的な利害関係」のある地域があるが、それらの地域を攻撃から守ることは、英国にとって「一つの自衛措置」だと明確に述べている。
集団的自衛権の本質は「自衛のための措置」としての他国防衛なのである。従来の舌足らずの説明を修正して、国の「存立を全うする」ため、他に適当な手段がない場合に限り、必要最小限、この「自衛のための措置」をとりうるようにする。それが、新しい政府憲法解釈の要点である。(さかもと かずや)
U 「集団的自衛権行使は違憲」 ! 山口繁・元最高裁長官の主張 !
(www.asahi.com:2015年9月3日07時22分より抜粋・転載)
論説委員・高橋純子、編集委員・豊秀一2015年9月3日07時22分
◆山口繁・元最高裁長官:
安全保障関連法案について、山口繁・元最高裁長官(82)が、9月1日、朝日新聞の取材に応じ、
「少なくとも集団的自衛権の行使を認める立法は、違憲だと言わざるを得ない」と述べた。
安倍内閣が従来の憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定について、
「(解釈変更に)論理的整合性があるというのなら、(政府は)これまでの見解が間違いだったと言うべきだ」と語った。
「9条解釈、変更するなら改憲が筋」 元最高裁長官語る
安保法案学者アンケート
安全保障法制
■解釈変更「立憲主義わきまえず」
「憲法の番人」である最高裁の元トップが安保法案を「違憲」とする見解を示したのは
初めて。歴代の元内閣法制局長官や憲法学者の多くが「違憲」と指摘するなか、法案の正当性に改めて疑問が突きつけられた。
☆山口元最高裁長官:従来の解釈が憲法9条の規範として骨肉化
しており、それを変えるのなら、憲法改正し国民にアピールするのが正攻法だ !
山口氏は、安保法案を「違憲」と考える理由について「集団的自衛権の行使は憲法9条の下では許されないとする政府見解の下で、予算編成や立法がなされ、国民の大多数がそれを支持してきた」と指摘した。
「従来の解釈が憲法9条の規範として骨肉化しており、それを変えるのなら、憲法改正し国民にアピールするのが正攻法だ」とも述べた。
安倍晋三首相らは、米軍駐留の合憲性を争った1959年の砂川事件最高裁判決が、法案の合憲性の根拠になると主張する
これに対し山口氏は「当時の最高裁が集団的自衛権を意識していたとは到底考えられないし、(憲法で)集団的自衛権や個別的自衛権の行使が認められるかを判断する必要もなかった」と否定的な見方を示した。
安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は、昨年5月、安保環境の変化などを理由に憲法解釈の変更で「限定的な集団的自衛権行使」の容認を求める報告書をまとめた。
内閣はこれを踏まえ、同7月1日に解釈変更を閣議決定。山口氏は、こうした考え方について「法治主義とは何か、立憲主義とは何かをわきまえていない。憲法9条の抑制機能をどう考えているのか」と批判する。(論説委員・高橋純子、編集委員・豊秀一)
◆やまぐち・しげる 1932年11月、神戸市生まれ。京大卒。55年に司法修習生になり、東京高裁部総括判事、司法研修所長、福岡高裁長官などを歴任。第2次橋本内閣の97年10月から、第1次小泉内閣の2002年11月まで最高裁長官を務めた。長官在任中は、裁判員制度や法科大学院の導入などを柱とする司法制度改革に対応した。著書に「新井白石と裁判」。
〈砂川事件最高裁判決〉:1957年7月に東京都砂川町(現立川市)の米軍基地拡張に反対した学生ら7人が基地に立ち入ったとして、刑事特別法違反の罪で起訴された。
東京地裁は59年3月、米軍駐留は憲法9条違反として全員無罪としたため、検察側が二審ではなく最高裁に跳躍上告。最高裁大法廷は59年12月、
@憲法9条は自衛権を否定しておらず、他国に安全保障を求めることを禁じていない
A外国の軍隊は、憲法9条2項が禁じる戦力にあたらない
B安保条約は高度の政治性を持ち、「一見極めて明白に違憲無効」とはいえず、司法審査になじまない――と判断して一審判決を破棄し、東京地裁に差し戻した。
(参考資料)
山本太郎議員が安倍首相の「ネタ元」リポートを暴露 !
米国の要求文書:安倍政権が、提案している安保法案そのものではないか ?
(news.infoseek.co.jp:2015年8月21日より抜粋・転載)
★米国の要求:
明らかに特定秘密保護法の制定を促した文言もある !
その他、〈防衛上の秘密情報を保護するための法的能力をもっと強化するべきだ〉〈日本の現在の法体制は米国標準と同レベルではない〉とあり、これは明らかに特定秘密保護法の制定を促したものだろう。
あるいは、武器輸出三原則の緩和を強く求め、アメリカ以外のアメリカの同盟国にも技術の輸出をするようにするべきである、とも書いてある。
いずれも安倍政権になって、バタバタと実現していることばかりだ。
★米国の要求文書:安倍政権が、提案している安保法案そのものではないか ?
★「これら(米国の要求)は、ほとんどすべて、
今回の安保法制や日米の新ガイドラインに盛り込まれている」 !
★米国の要求の概要が、海上自衛隊幹部学校
のホームページに今も掲載されている !
★アメリカ軍の要請、ニーズには憲法を踏みにじってでも、国民の生活を破壊してでも、
真摯に全力で取り組む安倍政権は、ペテン師・対米隷属・売国奴政権 !
★安倍政権は、米国に完全コントロールされてんじゃないか ?
日本は、誰の国なんだ ?