雑感。安倍政権の目線
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2015年09月11日 在野のアナリスト
宮城でも大雨被害がありました。大雨、暴風になると防災無線が聞こえにくい、といった問題と、今回は避難勧告が間に合わなかった、という問題と。支流で流域範囲もせまい川で油断もあったのでしょうが、経験則が通じない今は、未曾有の事態に対処することになった際は、リスクサイドにより重きをおいて判断することが大事なのでしょう。これは行政がどれぐらい事前にリスク管理をしていたか? という問題とも重なり、その上でリスクを最大に重く見積もる、ということでもあります。能力のない行政機関はより大きな被害をだす、ということでもありますから、今後はそうしたこともまた住民の選別対象となっていくことでしょう。土地に執着がなければ、より安全な対応をしてくれる市町村へ移り住むことが、身を守る術だからです。
安倍首相が明日、常総市で視察を行います。しかし邪魔以外の何ものでもありません。まだ緊急対応の真っ最中であり、中央行政のトップは次のステップ、復興で何ができるかを考えるべきで、言葉は悪いですが物見遊山とパフォーマンスとしか思えません。対策本部にずっと膝詰めで張り付いていたわけでもなく、思いつきなら今は止めるべきです。しかしそうした判断もできず、支持率下落に焦っているなら、今後も逆効果になりかねない事例が増えてくることでしょう。
改正労働者派遣法が衆院で可決、成立しました。業務の区分がなくなり、同一職場での労働が3年に限定される。使い捨て、という以上に派遣社員にとっても不利なシステムで、仕事に慣れ、職場環境も落ち着いてきたところで強制的に打ち切り、となってしまいます。大企業病というと、重大な決断ができず、冒険できない症状を指しますが、安倍政権の大企業病は異なる症状で、もっと深刻です。法人税減税の議論も、20%台などと語られますが、安倍政権は常に企業目線、しかも大企業との付き合いが深く、そこからの目線しかもち得ていないのですから、デフレ脱却など不可能です。肝心の消費を上げる策がプレミアム商品券だけなのですから。目標と施策とがまるで合致していない。消費者目線に立てない、それが安倍政権の罹患する大企業病です。
SEALsのメンバーがテレビで某解説員と討論した件が話題です。しかしこの某解説員、政治関連の番組によく出演しますが、安倍氏と会食することで、そこででた話題をネタとして披露することも多い、解説員どころか『会食員』です。しかも長く政治に携わり、過去のネタも挟みながらですから、大学生ぐらいが可能はずもありません。そんな解説員にとって安倍氏はメシ友であると同時に、メシの種なのですから、徹底的に擁護に回るのであって、太刀打ちできるはずもないのです。むしろ、そんな条件で番組をつくること自体、安倍氏への応援の意味を含むのでしょう。
衆院が16日参院採決を求め、参院は18日採決としたいところ、15、16日と公聴会を開くことで、17日と間をとって採決する案が濃厚となってきました。シルバーウィークで反対デモが拡大すると収拾がつかなくなる。来週内に、との意向を最低限担保した形です。しかし本来、大雨被害に視察にいくぐらいなら今日の参院本会議を延期して、危機対応にあたるべきなのです。昨日とて、関係閣僚会議が10分だけ、という話もでていますが、安保法案では国民の安全、安心を謳う割りに、安倍氏の態度がそれとまったく相応しくない。安保法案を通すためだけに、躍起になっている風にしか見えないのです。国民のニーズに応えられず、自らの都合ばかりを優先するような企業の製品は、誰も買いません。安倍政権も同じです。国民の声を吸い上げず、こうした重要法案の公聴会を中央、地方の1日ずつ。本来であれば、北海道から沖縄まで、最低でも6箇所ぐらいで公聴会を開いても何ら不自然ではないにも関わらず、日程優先でそれも省いてしまう。安倍政権という大企業の株は、コンプライアンスが働いていないこともあって、経営陣(内閣改造)ぐらいでお茶を濁されても、今後も落ち続けていくことになるのでしょうね。