現在85歳の鈴木修会長(C)日刊ゲンダイ
VWと提携解消ですっきりも スズキに立ちふさがる多くの壁
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163288
2015年9月2日 日刊ゲンダイ
「喉の小骨が取れてすっきりした」――。フォルクスワーゲン(VW)との提携が解消し、スズキの鈴木修会長は顔をほころばせた。
2010年にVWと資本・業務提携を結んだが、同社がスズキへの経営支配を強めようとしていることを警戒して解消を模索。このほど国際仲裁裁判所がVWが保有するスズキ株(19.9%)を売却すべきと決定した。スズキ側の買い戻し価格は4600億円に上るとみられている。
気になるのはスズキの今後。小骨が取れて順風満帆といくのか。「早めに次の提携先を見つけないと厳しい」とは経済ジャーナリストの大山功男氏だ。
「スズキはインドで45%のシェアを誇り、東欧での販売拡大を狙うなど経営は好調です。しかし電気自動車と燃料電池車に向かっている自動車業界で生き残るには、年に5000億〜7000億円の研究開発費が必要。この金額をスズキが独自に負担するのは厳しい。国内の自動車メーカーか、ディーゼルエンジンの供給を受けているフィアット・クライスラーなどと提携しないと、置いてきぼりを食ってしまいます。ただ、フィアットが株の買い戻し価格4600億円を出せるかは難しいところです」
「物言う株主」として知られる米投資ファンド「サード・ポイント」がスズキの株を買い集めているのも不穏な雰囲気。ソニーがそうだったように、サード・ポイントから経営圧力をかけられかねないという。
「一番の問題は鈴木修会長の体調でしょう。現在85歳で、これまでワンマンといえるほど素早く決断を下してきた。6月末に長男の俊宏氏に社長職を譲って会長に退いたものの、いまも絶対的なカリスマ性を誇っている。修氏に万が一のことがあれば、俊宏氏が本格的に主導権を握ることになりますが、彼は温和な性格。幹部会は集団合議体制になり、修氏のような機動的な経営判断はできないでしょう」(大山功男氏)
スズキに残された時間は短い。