「経済の好循環」一筋縄ではいかず 物価上昇は頭打ちも…個人消費が低迷
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150828-00000002-biz_fsi-nb
SankeiBiz 2015/8/29 08:15
政府が28日に公表した主要経済指標は、政府の目指す「経済の好循環」の実現が一筋縄ではいかない現状を改めて浮き彫りにした。物価上昇が頭打ちにもかかわらず、個人消費が低迷するなど、日本経済は課題とするデフレからの脱却とはほど遠い状況が続いている。
「所得環境が改善の方向(にある)というのは間違いない」。麻生太郎財務相は28日の閣議後会見で、堅調な雇用や賃上げの流れが、今後の消費を上向かせるとの認識を強調した。有効求人倍率や完全失業率の数値からは企業の高い採用意欲がうかがわれ、厚生労働省も雇用情勢の判断を上方修正した。
だが、肝心の個人消費と物価上昇のペースが思わしくない。生鮮食品を除く消費者物価は25カ月続いた前年同月比でのプラスがストップ。1世帯当たり(2人以上)の実質消費支出も前年実績を割り込んだ。住居の設備修繕や塾代などの消費が控えられ、全体を押し下げた。
「日々購入する食品の値上がりが消費者心理に与えた影響が大きい」。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは消費低迷の背景を分析する。
今回の消費者物価では、光熱費や外国パック旅行などが全体を押し下げた一方、生鮮食品は前年同月比7.3%増。食品全体でみても2.5%増と上昇が顕著だ。その結果、主婦などは実際よりも「物価上昇を肌感覚でより強く感じている」(甘利明経済再生担当相)という。
政府は「物価上昇を超える賃上げを肌感覚で感じてもらう」(甘利氏)と、一層の消費刺激策を打ち出していく方針だ。ただ、物価の頭打ちの要因となった原油安は、中国経済の減速による需要先細りという海外要因も大きい。海外経済の影響は、輸出の伸び悩みといった形でも表れており、政府は今後、国内外に目配りしながらの難しい政策運営を迫られそうだ。