自民党総裁選は無風?
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52730319.html
2015年08月22日 在野のアナリスト
米国市場でダウが500$を越える大幅な下げとなり、シカゴ日経平均先物9月物も19000円割れとなっています。要因の一つには、中国の政局リスクがあるのでは? とも語られます。共産党一党支配とはいえ、内部は血みどろの政争状態です。天津の爆発事故で、毒ガス報道に関してメディアが割れるなど、不都合なことが起きている。北戴河会議の前におきた爆発事故といい、軍制服組トップの失脚が今年相次いだことから、人民解放軍のクーデターとの見方も出ているのです。爆発の原因に、放水したことが早々と報じられましたが、最初の火災の原因すら分からず、現場の消防隊員がほとんど死亡している中で、爆発原因だけがすぐ報じられる不可解さ。何か隠されているのではないか? そしてそれは、習近平氏の反対分子の仕業では? そうなると、株価はどうしても中国政治リスクを織り込まざるを得ません。そしてもしこれが、反習近平派による株安との連動だとすれば、今後も中国では何が起きるか分からない、ということでもあります。あくまで怪しい噂レベルですが、中国の情報には要警戒がつづくことは間違いありません。
そんな日本は、9月の自民党総裁選は「無風」との報道が、あらゆるメディアを通じて出てきています。そういう流れにして、無投票再選により基盤固め、という安倍氏に近いスジの思惑ばかりでなく、参院自民の都合が強く滲みます。参院自民の描く最良のシナリオは、安倍氏が6月に辞任、7月に自民党総裁選を大々的に行い、9月の参院選は新政権の支持率が高いうちに行う、です。つまり、ここでムリして安倍総裁を代える理由がない。むしろ代えたくない。
ただし、このシナリオの肝は安倍氏が6月、通常国会末に自ら辞任してくれること、です。しかし安倍氏は憲法改正を視野に、居座る気満々であり、節目には山口県出身の首相が…とこぼすほど、執着があります。そこで出てくるのが健康不安説。恐らく、来年4月以降は閣僚の醜聞が続々とでてきます。それは自民党内からのリークであり、安倍政権の支持率を落とし、安倍氏にストレスをかけて追いこみ、病気で辞任させる。もし仮にここで対抗馬にでても、参院自民のこのシナリオ通りなら協力が得られず、勝つ見込みがありません。よほど名を売りたいか、ここで安倍対抗馬としての存在感を示したいとしても、大敗しては意味がない。そこで全員が尻ごみしています。
安倍氏の側から、積極的にこのシナリオを崩すことはほぼ不可能です。解散すれば自民は大敗、政権の寿命をちぢめるだけです。それは安倍氏の政治生命も終わり、であって、安倍氏にいいことは一つもない。内閣改造による懐柔も、上記シナリオ通りなら、よほど身奇麗な人間か、一度は閣僚をしてみたい、という引退覚悟の人間か、能天気な人間か、しか引き受けません。そうなると、いずれにしても恰好の醜聞ネタを提供するだけ、まともな人間はまず半年と少しの任期、しかも火達磨になることが約束された安倍政権とは、距離をおきたがることでしょう。
自民党総裁選が、無投票再選になるなら、ますますこのシナリオで自民党は動くことが確実となります。総裁候補と呼ばれる人間も、後三年待つのは厳しいですが、10ヶ月間を支持者固めに奔走することができ、じっくり総裁選を戦える。願ったりの展開なのです。自民党総裁選を無投票再選する。安倍氏側近たちが必死でそうした流れにもちこむことさえ、安倍氏にとっては将来の不幸を約束する。そして野党どころか、与党、そして官僚まで安倍政権をレイムダック化するのに、協力する。それは誰にとっても疎ましいからです。無風なのに弱体化する安倍政権、これまで風を切って順風満帆ですすんできたにも関わらず、風が止まれば途端に行き場を失い、漂流する。無風の先に待つのは、ただ沈むだけの泥舟でしかないのでしょうね。