ドラッグストアとの一体型店を拡大させるファミリーマート
コンビニドラッグ店が拡大 食品や日用品の安売り販売に苦慮
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150823-00000006-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 8月23日(日)7時6分配信
全国に約5万店が点在し、10兆円超の巨大市場に膨れ上がるコンビニエンスストア。近年は生鮮食品や淹れたてコーヒーなど商品の幅を広げることで、スーパーマーケット、ファストフード店といった他業態の需要まで取り込んでいる。
そして、コンビニが次に侵食しているのが、ドラッグストアや調剤薬局が扱うクスリの品揃えだ。都心部や駅近店を中心に「コンビニ×ドラッグストア」の一体型店舗が増えているのはそのためだ。中堅ドラッグストア幹部がいう。
「いまや一般用医薬品(OTC)は家電量販店やホームセンターなどでも購入できますし、ネット販売も解禁になったことで、ドラッグストアの専門性はどんどん薄れています。調剤薬局と組んで処方箋を受け付けるにしても、薬剤師を多く抱え込む大手に叶わない。
そう考えると、好立地に店を多く構えるコンビニと連携して販売力を高めなければ生き残れないのです」
何でも揃う“ワンストップショッピング”が基本のコンビニにとっても、ドラッグストアとの協業話は渡りに船だ。「男性や単身者の主要顧客に加え、クスリを扱うことでファミリーや高齢者といった客層も広がる」(大手コンビニ広報)。
現在、ドラッグストアとの融合を積極的に推し進めているコンビニは、業界2位のローソンと3位のファミリーマート(以下、ファミマ)である。
ローソンは2009年にマツモトキヨシホールディングス(HD)と業務提携してドラッグストアとの一体型店舗の拡大を狙ったものの、両社の戦略がかみ合わずに頓挫。しかし、その後はクオール薬局や溝上薬局、今年に入り大手ドラッグストアのツルハホールディングスなど次々と提携して併設店をオープン。2018年度までにドラッグストア機能を持つコンビニを500店に増やす計画だ。
一方、ファミマはサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループとの経営統合が遅れているものの、ローソン以上に複合店展開に意欲を見せる。コクミン、ヒグチ産業、湘南薬品など16社と提携。8月18日にはヒグチ産業、調剤薬局のファーマライズホールディングスHDと3社で合弁会社立ち上げの発表をしたばかりだ。ファミマ陣営は2018年度までにドラッグ併設1000店規模を目指す。
しかし、コンビニとドラッグストアの融合が進むにつれて、新たな問題も起き始めている。コンビニ業界の専門紙『コンビニエンスストア速報』編集長の清水俊照氏が話す。
「ドラッグストアは医薬品だけでなく、安売りの食料品や日用品などを扱って売り上げを伸ばしてきました。例えばティッシュペーパーやペットボトル入り飲料など、同じ商品でもコンビニより安い価格で売っていた品もたくさんあります。
それが併設店に限ってコンビニの一律価格に合わせてしまうと、『ここのジュースは高い』などと消費者の価格意識がますます厳しくなっていく恐れがあるのです。商品ごとの粗利益を考えながら、消費者に違和感を持たれない値踏みをするのに各社とも苦慮しています」
利益をフランチャイズオーナーと分け合うコンビニのビジネスモデル上、「ドラッグストアのように薄利多売では採算が取れない」(コンビニ幹部)こともあろうが、異業種との複合店を展開する以上、今後は値引きによる差別化も避けて通れないはずだ。
消費者にとっては、「家から近くて何でも揃うコンビニ」、しかも値段が安いのに超したことはない。