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<大阪・関大一高>入試前に大半「合格」 中学側と調整
毎日新聞 8月20日(木)10時31分配信
<大阪・関大一高>入試前に大半「合格」 中学側と調整
関大一高2015年度入学者選抜の状況
「関西大学第一高校」(大阪府吹田市)が今春の入試で、試験日の1カ月前に中学側と「受験相談」と称する事実上の入学者選抜を行い、中学での成績に基づき大半の合格者を内定した結果、内定者より79点も高い点数を試験で取ったのに不合格とされた受験生がいたことが分かった。「受験相談」の存在や結果は大半の受験生に知らされていなかった。大阪府は入試の選抜方法が不透明だとして同校を指導した。試験の前に生徒を早めに確保するこうした仕組みは全国の私立高校に広がっており、不公平な選抜や入試の形骸化につながるとして受験関係者の中から批判する声が上がっている。
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◇不透明選抜、全国で
関大一高がホームページなどで公表した今春の募集概要によると、入試は筆記試験が国語、社会、数学、理科、英語各100点の計500点。これに内申点として音楽、美術、保健体育、技術・家庭各20点の計80点を加えた580点満点の試験で合否を決めると明記し「中学3年間の活動実績なども考慮する」としているが、「受験相談」については一切記載していない。
しかし、複数の関係者や関大一高の内部資料によると、今年2月10日の筆記試験の約1カ月前、少なくとも数十校の中学の進路担当者が「受験相談」として決められた期日に関大一高を訪問し、受験生の内申点や中学でのテストの点数を提示。関大一高はそれを基に個々人の合否の見通しを中学側に伝えていた。ただし、多くの中学は「筆記試験まで勉強を続けさせる」などの理由で、受験生には受験相談の存在やその結果を明確に伝えなかったという。
関大一高側の説明者向けの内部資料には「中学側に『受験相談でマル(内定)をもらえば確約ですか』と聞かれれば『筆記試験でよほどのことがない限り不合格になりません』と言ってください」などと記されていた。実際、受験相談で内定が出た119人は全員が筆記試験を経て合格。試験での最低点は男子で312点、女子で284点だった。
一方、同校は主に試験の成績で合否を決める「当日枠」も設けており、当初はその定員を約50人と中学の進路担当者らに説明していた。しかし、受験相談での内定者が当初想定していた約100人から119人へと増えるなどしたため当日枠を削減。合格者は16人にとどまり、50人が不合格になった。合格者の最低点は男子で390点、女子で370点。不合格50人のうち47人は受験相談での内定者の合格最低点を上回り、女子では79点高い363点、男子では66点高い378点を取っても不合格とされていた。
こうした経緯を疑問視した関大一高の関係者は筆記試験の前後に複数回、大阪府に指導を要請。大阪府私学・大学課は「募集定員や点数の逆転に不透明な部分があり、内部から不公平との指摘が出ている」として同校に改善を求めた。
関大一高の橋本定樹校長は「中学からの要請もあり受験相談をしている。筆記試験の点数だけでなく中学での活動を考慮しているので、結果的に(合格最低点の)点差が広がってしまったが、分かりやすい制度にしたい」と話し、募集要項を変えるとしている。【藤田剛、大久保昂、田口雅士】
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最終更新:8月20日(木)12時29分
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<首都圏の私立高5校>模試の結果で合格確約
毎日新聞 8月21日(金)10時1分配信
◇塾側、事前に模試一部を受験生33人に解かせる
首都圏の私立高の少なくとも5校が昨年の入試の1カ月以上前、大手学習塾が実施した模擬試験(模試)の結果を基に、一部の受験生の合格を事実上確約していたことが分かった。文部科学省は入学者選抜での模試の利用を禁じており、これに違反する疑いがある。塾側は模試の一部を受験生33人に事前に解かせていたことも判明。関係者は「入試の公平性が揺らぎかねない」と批判している。【藤田剛、大久保昂、田口雅士】
この模試は、全国展開する大手学習塾が主催し2013年10月、関東と中部の約20カ所の塾教室で行われ、当時中学3年でこの塾に通う受験生ら約2000人が受けた。
塾関係者や内部資料によると、模試から1〜2カ月後、その結果を塾側から渡された東京都内の私立高4校と埼玉県内の私立高1校が、模試の成績に基づき、一部の受験生に優遇措置を適用することを伝えたという。
この優遇措置は「併願優遇」と呼ばれ、主に公立高を第1志望にする受験生が滑り止めとして私立高を併願受験する際、「公立高に不合格だった場合は必ず進学する」ことを前提として合否判定で優遇される制度で、都内の私立高などが導入している。中学の成績(内申点)が一定の基準を満たせば出願時点で合格がほぼ保証されるが、私学団体の「東京私立中学高等学校協会」はその判断基準を中学の内申点に限り、模試を使わないよう申し合わせている。
しかし、塾の内部資料には「内申が基準に満たない場合でも、模試の成績などをもとに『併願優遇扱い』を約束してくれる高校がある」と明記され、具体的な高校名を列記。5校の入試は埼玉で14年1月、東京で同2月に行われたが、当時の塾講師は「生徒は13年12月には合格の確約をもらったと喜んでいた」と証言した。塾の内部資料にも13年12月の会議で「(高校から)併願優遇はちゃんと出しますというふうな返事をもらった」などの発言が記されている。
これらに先立ち模試の前日と2日前、塾講師の1人は東京・池袋の教室に通う受験生33人に、模試の英語問題の一部を解かせ、解答を配っていた。塾関係者によると、模擬試験後に問題が同じと気付いた受験生が、不正を疑われて受験で不利になることを懸念し、講師に抗議。塾は33人に模試の再試験を別問題で行い、5校にも経緯を説明したという。
塾関係者によると、私立高に受験生の名簿や模試の成績を示して合格の内諾を得ることは10年以上前から続いているという。塾の広報担当者は「生徒の要請に基づき高校に提供した」とし、「あくまで出願の際の参考資料。模試の成績だけで合否判定されるとは認識していない」と回答。模試の問題を事前に解かせたことについては「過去問題と誤った」と説明した。5校のうち2校は取材を拒否し、3校は「模試の成績で合否を決めることはない」としたが、このうち1校の校長は「塾とは持ちつ持たれつだ」とも語った。
◇模擬試験を巡る文部省(現文部科学省)通知
1990年代、中学が授業中に模擬試験(業者テスト)を行い、その結果を基に生徒の進学先を高校側と相談していたことが「青田買い」などと問題化。当時の文部省は93年、「業者テストの結果を資料として用いた入学者の選抜が行われることがあってはならない」と全国に通知した。
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最終更新:8月21日(金)10時1分
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