ブログ「まさおっちの眼」http://blog.goo.ne.jp/masao19481より転載。
平和憲法に裏打ちされた、この70年戦争のなかった日本が、今、危機に立っている。
安倍首相が米軍にくっついて自衛隊を海外に送りこむ安保法案を通過させようとしているからだ。
安倍談話のあと、昨日世論調査を行ったら、下がっていた内閣支持率がまた上がったという。
談話は確かに耳障りのいいものだった。
しかし、明確に、日本が侵略してアジア諸国に迷惑をかけたと「おわび」したものではなく、一般論として当時の時代はどこでもそうだったと言っただけである。
また、「子々孫々、後世にまで謝らせることはない」とも言った。
たしかに戦争を体験していない我々にも、この言葉は「そうだ、そうだ」と同感しうるように耳障りがいい。
しかし、これもよくよく考えてみると、戦争をしかけた先人達の反省の上に立ってこそ初めて平和というものは維持されるものである。
平和を維持するということは、常に子々孫々に至るまで反省の上に立って初めて維持できるものであるからだ。
安倍首相の言葉は「積極的平和主義」という言葉に象徴されるように、常に美辞麗句で国民をオブラートに包みこんでいく。
「積極的平和主義」と言われれば、国民は「平和というものを世界に積極的に発信するんだなあ」と勘違いしてしまう。ところが彼の本音は「自衛隊を海外に送り込んで米軍と一緒に戦争する」ことなのである。
ある意味、ヒットラーのように能弁なのかも知れない。
しかし、彼の言葉に、国民は決して騙されてはいけない。
彼は、岸信介に可愛がられて育った。
その岸信介は、東条英機内閣時、大臣として開戦に賛成したひとりである。
戦後、A級戦犯容疑者として巣鴨拘置所に収監され、死刑を覚悟していた。その岸が突然、なぜか、釈放され、旧敵国に忠実な親米派に変身し、十数年後に首相にまでなったのは戦後日本憲政史上最大の謎とされてきた。
その謎の大きな要因として、「日米同盟の強化」は1960年の日米安保条約に基づくが、それに調印した岸信介首相(当時)は、米CIAのスパイだったという人もいる。
その思想を安倍首相はそっくり受け継いでいる。
憲法改正によって、「自主憲法の創設」「国防軍の創設」「米国への忠誠心」が彼の本音である。
首相になった当初、すぐにでも憲法改正を全面に打ち出したかったが、「それでは国民が引いてしまう。まず、経済政策を前面に打ち出して支持を得てからにしたほうがいい」と菅官房長官に助言を受け、「アベノミクス」に乗り出した。
アベノミクスとは何のことはない。
消費物価を上げ、企業の業績を上げることによって賃金が上がる、景気がよくなってデフレ脱却ができるという、古いカビの生えた経済手法である。
しかし、この数年間の実態は、お友達の黒田を日銀総裁に送り込み、「異次元緩和」という爆弾で、株価を釣り上げただけである。
数日前のGDPの統計では、とうとう、デフレ脱却どころか、年率成長マイナス1.6%の数値が出てしまった。
当然である。円安によって物価は上がり、一部大企業の賃金は上がったものの、日本企業の95%を占める中小企業には賃上げのメドは立たないからだ。
よって国内消費の劣化が進み、マイナスとなってしまったわけだ。
労働法改正でさらに非正規社員化は進み、日本に貧困層というものが定着、子供の6人に一人は、昼飯も食えない貧困にあえいでいる。
アベノミクスは完全に失敗に終わっている。
しかし安倍にとっては、このことは好都合である。
自衛隊が海外進出で死者が出るようになれば、自衛隊の志望者が激減する。
しかし、貧困で路頭に迷う若者が多くなれば、自衛隊志願者が増える。
徴兵制度をしなくても、この「経済的徴兵制」にもっていけばいいからだ。
ところで、話が一見飛ぶようだが、原発。
先日は川内原発が稼働に入った。国が責任を持つというが、福島でさえ、誰も責任をとっていないのに、まったく笑わせる話だ。この猛暑でも電力は余っており、原発を稼働させる理由は何もみあたらない。福島を契機に、ドイツ、フランス、アメリカでさえ、原発を縮小する方針だというのに、被爆国である日本が世界にまるで逆行しているのだ。
今では維持費・処理費を考えると原発がコスト的にも高いものであることが判っている。
なぜこれほどまで安倍首相が原発再稼働に固守するのかと言えば、安倍が原発からプルトニウムを取り出して核を保持したいことに他ならないからである。
安倍の頭の中では「貧困」「原発」「安保法案」がそれぞれリンクしているのである。
その「安保法案」、株価が一定の水準に達して、安倍はいよいよ「安保法案」を持ち出した。
麻生副総理の「ヒットラーのように国民にわからないようにもっていけばいい」と言うように、憲法改正と正々堂々と国民に信を問えば否決されるから、「憲法解釈の範囲内」というまやかし禁じ手の「安保法案」を今、進めている。
これもすべて米国のためである。
アメリカは軍事費が縮小され、日本の手が借りたいのである。
安倍首相は、まだ安保法案が国会審議にもなっていないのに、米議会で「日本がやります」と演説し、大喝采を浴びた。
中国や北朝鮮のミサイルが日本に向けられている、そう彼らは国民の恐怖心を煽るが、そんなものは今に始まったことではない。
むしろ脅威なのは、自衛隊が米国の犬になって、ともに海外でいじくることによって、必ず反発を買い、日本国内の原発や新幹線がテロの標的になることである。
日本というちっちゃな国は、武力に頼らず、世界に向かって「平和外交」一本で押し進めるべきである。
日本はアメリカの属国ではない。
武力に頼るアメリカとは一線を記し、独立した国として、独自の平和外交を推し進めるべきである。
極右=愛国者というが、米国に対して属国を売り物にする安倍首相は、愛国者でもなんでもない。
彼は、祖父岸信介の意を通して、日本と言う国を売っても、親米を貫きたいだけなのである。
8月30日、「安保法案反対」の30万人規模の国会デモ、100万人規模の全国デモが予定されている。
日本国民の真意に期待したい。