「21世紀最大のIPO」と話題だが(C)日刊ゲンダイ
専門家に聞く 「11・4上場」日本郵政グループの株は買いか?
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2015年8月18日 日刊ゲンダイ
日本郵政グループ3社の上場スケジュールがようやく決まった。東証が9月10日に上場を正式に承認し、11月4日に売り出される予定だ。
日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社の時価総額は10兆円。市場からの調達額は3社で1兆〜2兆円規模になるとみられ、「21世紀最大のIPO(新規上場)」といわれている。
「グループ3社の中でも『ゆうちょ銀行』は史上最高の初値が付くのは間違いない。公募価格は未定ですが、兜町では個人投資家が手を出しやすい20万〜30万円で売り出されるのではないかといわれています」(市場関係者)
果たして今回の“郵政株”は買いなのか。株式評論家の倉多慎之助氏が言う。
「売り出し直後はしばらく上がると思います。基本スタンスは“買い”でいい。企業の好決算、円安、原油安などで日本株全体を取り巻く投資環境は悪くないし、秋口には政府が設備投資減税の延長などの景気対策案を出してきそうです。早めに利益確定をすれば、大ヤケドをせずに済むのではないでしょうか」
しかし、「安易に手を出すのは危険」と警鐘を鳴らす専門家もいる。元スイス銀行ディーラーのマーケットアナリスト・豊島逸夫氏だ。
「日本株の6割を占めるとされる海外投資家が、急速に日本株を見限り始めています。大きな原因は長期政権が予想されていた安倍内閣の支持率が急落していること。株価維持政策がいつまで続くか不透明になってきた。これに東芝の不正会計問題、中国リスク、米国の利上げリスクが重なり、“日本買い”のポジションが崩れつつあります。こんなタイミングに郵政株規模のような超大型株を公開して、どれだけの買い手がつくか」
兜町の関係者たちは「NTT株の再来」と舞い上がっているが、1987年に上場したNTT株は160万円の初値をつけ、その2カ月後に318万円まで暴騰したが、その後は下降曲線をたどった。多くの個人投資家が“ババ”を掴まされ、泣きをみたのは記憶に新しい。
欲をかいて、煮え湯を飲まされるのだけはくれぐれも避けたい。