「遺伝子解析だけで結論できるのか」(EJ第4096号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/423973143.html
2015年08月12日 Electronic Journal
2014年12月25日に発表された桂勲氏を委員長とする理
研の「研究論文に関する調査委員会」による報告書と、26日に
開催された調査委員会メンバーによる記者会見をめぐっては、表
のメディアは報告書の内容をそのまま受け入れ、一切の批判をし
ていないものの、ネット上ではさまざまの疑問が噴出し、批判記
事が多く出ています。
EJではそれらの記事のほとんどを読んで、今回のテーマの記
事を書いていますが、次の記事は報告書と記者会見でのやり取り
について鋭い分析を加え、問題点を浮き彫りにしています。とく
に今回のテーマの結論部分に使えるので、この後も参照させてい
ただくつもりです。
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桂STAP調査委報告書への疑問──ES細胞混入があり得
ない材料と、マウスの手交・交配ミスの可能性無視
──2014年12月31日/投稿者/南青山
http://bit.ly/1go5Ya6
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昨日のEJ第4095号で述べたように、どのように考えても
小保方氏がSTAP細胞をこっそりES細胞とすり替えたり、S
TAP細胞にES細胞を混入させることは不可能なのです。仮に
それをやったとしてもすぐばれてしまうはずです。このことは、
故笹井芳樹氏も、丹羽仁史氏も、そして誰よりも若山照彦教授ご
自身が一番よくわかっているはずです。これについて、上記の南
青山氏は、「疑問4」として次のように述べています。
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「疑問4」ES細胞が混入すれば、大きさ、増殖速度の差異な
どで、直ちに峻別できるのではないのか?
調査委員会は、「インキュベーターでシャーレで培養中に何者
かがES細胞を混入した」との見立てに立ち、わざわざ、研究室
の見取り図まで示して、アクセスできる者、時間、管理状況につ
いて説明しています。小保方氏とは断定はできないものの、ほと
んど小保方氏であると、いわんばかりのニュアンスを出していま
す。しかし、ES細胞が混入したならば、大きさや形状が異なる
ことから、すぐに見てわかることは、研究者の常識ではないので
しょうか?それに、ES細胞だったら増殖能が強いですから、数
日の培養期間中にどんどん増えてしまうことでしょう。
──2014年12月31日/投稿者/南青山
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もし、小保方氏がES細胞を混入したのではないとすれば、南
青山氏のいうように、若山教授側のマウスの手交ミス、交配ミス
が考えられますが、桂調査委員長はそれについては調査の対象外
としてスルーしています。
どうしてかというと、その議論をするとSTAP細胞が存在す
ることを認めざるを得なくなるからです。どういうわけかはわか
りませんが、この調査の目的は、「STAP細胞の正体はES細
胞であり、最初から存在しない」という結論に導いて、STAP
細胞事件の幕引きをすることにあるとしか思えないのです。それ
が理研の目的だったのではないでしょうか。
この桂調査委員会の結論をいかにも本当らしく見せているのは
次の3つの事実です。
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1.遺伝子解析の話なので、素人にとっては難解であり、多
少の矛盾があっても本当らしく思えること。
2.小保方氏が混入したとされているES細胞が小保方研の
冷凍室で発見されたと演出されていること。
3.小保方氏自身の手になる再現実験においてSTAP細胞
の存在を証明することはできなかったこと。
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ひとつずつ検証していきます。
「1」に関しては、素人は、エライ先生が集まって遺伝子を解
析したのであるから、間違っていないと思ってしまいますが、実
はこれは必ずしも正しくないのです。その証拠に最近DNA鑑定
の結果、殺人罪で死刑判決を受けた人が間違いとわかって無罪に
なったことがいくつか起こっているではありませんか。
遺伝子解析に詳しいと思われる方のブログで、次の記事を見つ
けたので、ご紹介します。テーマは「小保方さんのSTAP細胞
の真相」です。
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2002年、アメリカワシントン州の女性が2人の子供の生活
保護を受けるためにDNA鑑定を行いました。結果は2回とも自
分の子として認められず、生活保護が受けられないばかりでなく
社会福祉局から他人の子を身代りに申請したとして告訴されてし
まった。彼女は3人目を身ごもっていたので、出産の時、弁護士
・医者たちあいのもとで、3人目の子のDNA鑑定を受けたが、
それでも他人という結果がでてしまった。
これはおかしいというので、彼女の身体中の細胞をDNA鑑定
をした結果、子宮の細胞から3人の子供と一致したDNAが見つ
かった。彼女は2種類の異なったDNAを持っていたのです。こ
のような2種類のDNAを持っている人間を「キメラ」というが
キメラが世界にどれくらいいるかは分かっていません。少なくと
も科学者はこの事件が起こるまではキメラがいることは分かって
いなかった。 ──「武藤のニュース日記」より
http://bit.ly/1TdJPNx
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遺伝子解析というのは絶対ではないのです。STAP幹細胞の
遺伝子解析の場合、「よく似ている」という表現が使われており
100%正しいとは断定できないのです。小保方氏の場合、仮に
正しいとしても、その事実から「STAP細胞の正体はES細胞
である」という断定は、あまりにも論理が飛躍しています。結論
ありきです。 ── [STAP細胞事件/069]
≪画像および関連情報≫
●「小保方さんのSTAP細胞の真」/武藤のニュース日記
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では、小保方さんの事件はどうか?
理研の調査委員会は、STAP細胞は存在せず「ほぼ」誰か
がES細胞を混入させた不正・・・と結論づけました。それ
に対し、小保方さんも周りのスタッフも否定しています。
ES細胞というのは、これから子供になる受精卵のことで、
既に万能細胞だということは科学者なら分かっていることで
す。小保方さんが故意にES細胞をSTAP細胞だとでっち
上げる動機はありません。
理由の一つは、同じことを再現できませんから、すぐばれ
ます。二つ目は、STAP細胞の研究の最終目的は「人間」
の難病を治療することにあるはずです。もしSTAP細胞が
ES細胞のでっち上げであった場合、治療に必要な「人間」
のES細胞をどこからか盗んでこなければなりません。マウ
スのES細胞なら盗めるかもしれませんが、「人間」のこれ
から子供になる受精卵(ES細胞)を盗んで殺して、治療に
使うことは できますか?人殺しになってしまいますよ。
小保方さんも、自殺した上司の笹井さんも、最高級の経歴
ですし、理研の待遇は大学教授以上といわれています。(理
研は役人が天下りし放題の独立行政法人)。つまり、小保方
さんも笹井さんも、ES細胞をSTAP細胞だとでっち上げ
る動機が全くないのです。 http://bit.ly/1TdJPNx
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