<TPP閣僚会合>新薬保護交渉で難航 翌日持ち越し
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150731-00000096-mai-bus_all
毎日新聞 7月31日(金)21時19分配信
【ラハイナ(米ハワイ州)松倉佑輔、清水憲司】環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の閣僚会合は30日(日本時間31日)、最大の懸案である知的財産分野について集中的に討議した。新薬データの保護期間で米国と新興国などが歩み寄れるかが焦点だが、双方が受け入れ可能な打開案を見いだせず、決着を翌31日に持ち越した。農産品の関税交渉も難航している品目があり、大筋合意を目指して交渉参加12カ国全体や2国間で断続的に会合が持たれた。
交渉参加12カ国は、28〜31日に設定した閣僚会合での合意を目指している。ただ、新薬データの保護期間をめぐり、製薬業界の利益を確保したい米国が12年、後発医薬品の開発促進を後押しするオーストラリアやニュージーランド(NZ)、新興国が5年を主張して譲らず、最大の難航分野になっている。
各国は30日午前(日本時間31日午前)から、事務レベルで打開案の作成作業を進めたものの、協議は難航。閣僚全体の会合を午後2時ごろから開いて最終調整を進める方針だったが、全体会合のスタートが3時間遅れた上、事務レベルの調整が不十分として、予定の半分の約1時間半で中断した。深夜に再開して政治決着を図る案もあったが、見通しが立たないことから見送られ、協議の難航ぶりを浮き彫りにした。
交渉参加国は事務レベルで徹夜の協議を行い、打開案を練り直した上で、31日午前(日本時間8月1日午前)の閣僚会合での決着を目指す。保護期間の年数で折り合いを付けるのが難しいため、新興国などには制度変更まで一定の猶予期間を設けるなどして妥協点を探る見通しだ。
知的財産以外でも、一部品目の関税撤廃交渉が足踏みしている。乳製品の大幅な輸出拡大を目指すNZが、米国や日本、カナダに対して強硬に市場開放を求める姿勢を崩していない。豪州のロブ貿易相は30日夜、記者団に「関税交渉、知的財産とたくさんの課題がある」と語った。
各国はこれまで、31日午前に大筋合意し、午後に共同記者会見を開く段取りを描いていたが、「強硬姿勢を一切崩さない国もある。皆が徹夜を続けているが、合意は簡単ではない」(交渉関係者)といい、当初の日程で合意に達するのは厳しい状況だ。ただ、今回の会合で大筋合意ができなかった場合、交渉が長期化する恐れがある。今夏の合意を逃すと、米大統領選に向けた動きが本格化して政治情勢が流動化し、交渉しにくくなるためだ。各国は日程を延長してでも今回会合での合意を目指す構えを見せている。