「東芝は明らかに粉飾」と専門家 過去の粉飾事件に匹敵する巨額さ
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2015.07.25 13:00 THE PAGE
7月20日、東芝の不正会計問題に関して、第三者委員会が調査報告書を提出した。調査報告書によれば、東芝は2008年4月から2014年12月まで約7年間で合計1518億円の利益を水増ししていた。東芝の自主調査分の44億円と合わせ1562億円の利益水増しとなる。報告書を受けて、東芝は21日、田中久雄社長と前社長の佐々木則夫副会長と元社長の西田厚聰相談役の3名の辞任を発表した。過去には、オリンパスやライブドアなどが、利益の水増しや損失隠しの粉飾事件で問題となり、上場廃止や元経営者の逮捕につながっている。東芝の不正会計問題は、過去の粉飾事件とどのように異なるのだろうか。
■過去の粉飾事件に並ぶ巨額利益水増し
東芝と第三者委員会が認定した東芝の利益水増し総額は1562億円で、この額は2011年に20年以上にわたる「飛ばし」を用いた不正会計による最大1178億円の粉飾決算が明るみに出たオリンパスの粉飾額を上回る。オリンパスの粉飾事件では、元社長らに執行猶予付きの有罪判決が下され、指南役とされた元会社社長には実刑判決が下されている。オリンパスは経営者など「一部の関与者のみによってなされたもの」(東証)と言う理由で上場廃止を免れた。
2006年に元社長の堀江貴文氏が起訴されたライブドアの粉飾額は53億円とされる。ライブドアは問題発覚後、短期間で上場廃止され、堀江氏には懲役2年6カ月の実刑判決が下された。また、2005年に元社長らが逮捕されたカネボウの粉飾額は2150億円とされる。カネボウは上場廃止され、元社長らには執行猶予付きの有罪判決が下された。
過去に国内で最も額の大きかった粉飾事件は、1999年の日本長期信用銀行の3130億円。次いで、1998年の山一證券の粉飾額が2700億円とされ、東芝の不正会計は、それら過去の巨額粉飾事件に並ぶ巨額の利益水増しと言える。
利益水増しの金額の多さに加え、東芝の調査報告書では、経営トップらの組織的な関与が指摘されている。東芝の不正会計を調べていた第三者委員会は、東芝が「経営トップらが意図的な見かけ上の当期利益のかさ上げ」を行っていたと認定し、不適切な会計処理が「経営判断として行われたものと言うべく、これを是正することは事実上不可能であった」とした。
■「東芝は明らかに粉飾」と上村教授
東芝の不正会計を粉飾事件と呼べるのかどうかについて、早稲田大学法学部の上村達男教授(会社法、金融商品取引法)は、「第三者委員会の報告書に基づけば、東芝は、経営判断として有価証券報告書の虚偽記載などの違法な行為を行った。これは明らかに粉飾であり、これを粉飾と言わなければ、『粉飾』は無い」と断言した。
上村教授は「記者会見で田中前社長が何と言ったとしても、第三者委員会の調査報告書を信頼するのが当然だ。30年以上研究している専門家として断言できる。他の専門家やマスコミが『粉飾』と言わないのはおかしい。何か東芝に遠慮があるのではないか。世間の人々が不審に思うのも当然だ」と話す。
■「刑事事件になる可能性は高い」
東芝の不正会計問題が、今後刑事事件になるかどうかについて上村教授は、検察がどう判断するか次第だとしながら、「アメリカでも東芝に対する損害賠償訴訟の動きが出てきている。これは東芝が違法行為を行ったということを前提にした動きだ。東芝が刑事事件になる可能性は高い」と指摘。
上村教授は、ライブドアの堀江元社長は極めて悪質な粉飾行為で罰せられるのが当然であったと述べた上で、「もしこのまま東芝が刑事事件として立件されなければ、堀江氏がなぜ逮捕されたのか分からないほどだ」と述べた。
(中野宏一/THE EAST TIMES)
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