世銀、アジア投資銀との協調融資を協議 総裁が方針[日経新聞]
2015/7/17 20:12
【北京=大越匡洋】中国を訪問中の世界銀行のジム・ヨン・キム総裁は17日、北京で記者会見し、中国主導で設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)との間で、協調融資の実現に向けた具体的な協議に入る方針を明らかにした。キム総裁は今回の訪中に合わせて、AIIBの初代総裁候補である金立群氏と会談し、特定の協力案件を話し合う会合を今年後半に開くことで合意した。
キム総裁は「AIIBは世銀にとって重要な新パートナーであり、貧困を減らして繁栄をめざすという共通の目標がある」と強調し、AIIBの円滑な運営開始に向けて協力する姿勢を示した。今後、数カ月かけて世銀とAIIBが協力可能な案件を探った後、今秋にも米ワシントンで会合を開き、協調融資の実施について議論する予定だ。
AIIBは欧州を含む57カ国が創設メンバーとして参加を表明しており、すでに50カ国が設立協定に署名した。中国政府は元財政次官の金氏を初代総裁候補として指名している。7月末までほかの創設メンバーから総裁候補を募ったうえで、8月下旬にも候補者を確定する。その後、総裁を正式に決定し、年内の業務開始をめざしている。
日米が中心に運営するアジア開発銀行(ADB)も、AIIBとの間で協調融資の実施を含む協力体制の構築について議論している。中国が最大の出資国となるAIIBとしても、世銀やADBなど既存の国際機関と協力するなかで、世界的に質の高い融資審査や組織運営などのノウハウを蓄積したい考えだ。
アジアの巨大なインフラ需要は既存の国際機関だけでは賄いきれないという現実がある。キム総裁はAIIBとの協力に関して「橋梁や水処理施設、道路、通信設備などのインフラ投資への資金源を拡大することができる」と語った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H5B_X10C15A7FF1000/?dg=1