福島第一原発の作業所で体を休める作業員。気温が高くなる夏場は、熱中症で倒れる人も続出する
「原発はズサンでウソだらけ」作業員3人、決意の重大証言!データを書き換え、ボヤを見逃し、黒人を燃料プールに放り込む・・・
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43922
2015年06月27日(土) フライデー :現代ビジネス
■核燃料プールに潜る外国人ダイバー
「(核燃料)プールに入る外国人ダイバーをよく見かけました。休憩所では会わないけど、現場に行くときにスレ違うんです。航路で全国をまわるんでしょう。船のカタログを見ていましたから。プールに入ると、200〜300ミリシーベルトの被曝をする。1回のダイブで200万円はもらえると仲間から聞きました」
こう証言するのは、2010年から福島第一原発で働いている30代の現役作業員・水野豊和氏(仮名)だ。建屋内の巨大なタービンを分解し、機能を点検する仕事をしている。
日本人作業員の年間被曝制限量は、50ミリシーベルト。水野氏によると、大量被曝する危険な仕事には外国人作業員がかり出されているという。
外国人作業員の問題は以前から指摘されていた。1977年にはカメラマンの樋口健二氏が敦賀原発(福井県)で働く黒人作業員の写真をとり、存在を否定していた科学技術庁と通商産業省(いずれも当時)が国会で追及され認めた経緯がある。
「プールの底には、タバコの吸ガラやペンなどさまざまなものが落ちています。それを拾うために放り込まれるのでしょう。1F(イチエフ、福島第一原発のこと)には黒人だけでなく白人もいました」(水野氏)
事故直後だけでなく、平時の原発作業もズサンで、電力会社の発表はウソにまみれている。ここで紹介するのは、『原発労働者』(講談社現代新書)などの著書がある音楽家・寺尾紗穂氏(33)が聞いた作業員3人の決意の証言だ。
線量の高い建屋地下での作業では、20kg近い酸素ボンベなどを背負って仕事する(写真・東京電力)
■火事が起きても見て見ぬふり
都内に住む高橋南方司(なおし)氏(71)は、2011年まで22年間1Fで働いていた。仕事は作業員の健康をチェックし、足場を作る指示を出す安全管理。ボヤが起きていないか、構内を見回るのも仕事だった。
福島第一原発での配水管入れ替えの様子。いたるところで汚染水が漏れ、毎時100ミリシーベルト以上の場所も点在する
「原発では火の出る作業はいくらでもありますが、第一発見者は『あなたが火元じゃないんですか』と東京電力から疑われるのがイヤで、報告などしません。見て見ぬふり。小さい火事なら、まわりに燃えるものがなければ広がらない。木片などをどかすぐらいです。
モニター管理している東電や東芝などの元請けが気づき、火を消す際も消火器など使いません。布をかけて酸素を遮断するなどして、なんとかするんです。水をまいたり消火器を使うと火災扱いになり、消防署へ届ける義務が生じる。だからシートをかぶせたり踏んだりして、痕跡を残さないようにモミ消しているんです」
被曝制限量超えを嫌う下請け作業員が、高線量を知らせるアラーム・メーターをハズして仕事するのも日常的。なかには地下にモレた汚染水と思われる水を、「バケツを素手で持ってかき出せ」と元請けから指示された作業員もいる。
■誤差の範囲ならデータを捏造
「東電は自分たちに都合のいい説明ばかりする。こっちのストーリーでいくとツジツマが合わなくなるから役人には別のストーリーでいこうと、昼夜を問わずテレビ会議で話し合っていました」
1982年から柏崎刈羽原発などで原子炉の試運転や核燃料の管理をしていた元東電社員、木村俊雄氏(50)が語る。木村氏は東電運営の職業能力開発校、東電学園の出身。だが都合のいい理屈で動く社風に不信感を抱き、2000年に東電を退社した。
本記事で紹介した証言以外にも、まだまだある驚きの実態!(寺尾紗穂『原発労働者』)
「先輩と一緒に、日常的にデータを書き換えていました。とくに発電効率の悪くなる夏場は、原子炉の出力が計画の数値を超えることがしばしばです。
計画値を超えると、役人への報告書に理由を書き説明しなければならない。それで夜中に大型コンピューターにつながっているコンソール(入出力装置)から、原子炉出力が小さくなるような係数を入力していたんです。
誤差の範囲内だったけど、明らかな捏造。東電の社員はみんなオカシイと感じているけど、給料や福利厚生など高待遇だから考えないようにしているんだと思います」
これらの重大証言をどう受け止めるのか。東電は本誌の取材に「事実関係を確認できないためコメントする状況にない」(広報部)と答えるばかりだ。
(フライデー2015年7月10日号より)