維新の党の安保政策に関する勉強会で松野頼久代表(左)と握手をする最高顧問の橋下徹大阪市長。右は柿沢未途幹事長=2015年6月20日、西本勝撮影
<安保法案>維新、週内にも自公と修正協議…橋下氏が了承
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150620-00000060-mai-pol
毎日新聞 6月20日(土)21時48分配信
維新の党は20日、大阪市で会合を開き、集団的自衛権の行使容認を含む政府の安全保障関連法案への対案について意見交換した。自身のツイッターで対案を「歯止めが不十分」と批判していた橋下徹最高顧問(大阪市長)は「問題は解消した」と述べ、今後の対応を党執行部に一任した。同党は23日にも対案を正式決定し、自民党などとの協議に入る。政府・与党は24日までの今国会の会期を延長し、安保法案を7月上旬に衆院通過させる日程を想定しており、与党と維新の修正協議は週内にも始まる可能性がある。
会合には橋下氏のほか、松野頼久代表、柿沢未途幹事長、小野次郎党安保調査会長、松井一郎顧問(大阪府知事)らが出席し、非公開で約2時間半行われた。
橋下氏は会合で、対案を法案化して国会に提出すべきだとの考えも表明した。対案を国会に出せば、安保法案と同時に採決する環境が整う。このため維新の民主党出身議員らには「維新が採決に応じれば与党の強行採決にならず、政府・与党に協力したと国民に受け止められる」と懸念する声が根強い。橋下氏は、党内で採決拒否論が高まらないようくぎを刺したとみられる。
維新が19日の安保調査会で了承した対案は、集団的自衛権の行使を限定容認する要件として、「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」という政府案の「存立危機事態」に、「日本への武力攻撃が発生する明白な危険が切迫している」との文言を追加。安倍晋三首相が行使事例に挙げる中東・ホルムズ海峡での機雷掃海を、経済的理由だけでは認めない方針を打ち出した。
橋下氏は会合で対案について「存立危機事態は、(集団的自衛権の行使が)わが国の防衛に資することをもっと明確にすべきではないか」「後方支援が地理的に広がらないような歯止めが見えにくい」と指摘したが、最後は「私の問題意識は伝えきった」と理解を示した。松野氏は会合後、「橋下氏とは驚くほど価値観が共有されていた」と記者団に語った。小野氏は「いつも同じ部屋では会議していないので、問題意識をぶつけてもらい非常に近いことが分かった」と述べ、橋下氏の批判は意思疎通の不足が原因だったとの見方を示した。
維新は今回の会合を踏まえて対案を手直しし、23日にも正式決定する。既に自民党など各党に対案に基づく協議を呼びかけている。
出席者によると、橋下氏は会合で、与党との今後の修正協議には言及しなかったという。維新幹部は20日、「対案の肝心な部分の修正には応じられない。肝の部分を譲る形で政府案に賛成するのは厳しい」と述べ、与党に妥協しない考えを強調した。一方、松野氏は会合に先立ち読売テレビの番組に出演し、「政府案の修正協議に応じるつもりはないが、わが党の案をのんでくれるならのんでほしい」と述べ、協議自体は否定しなかった。【佐藤慶、念佛明奈】