欧州の高失業率、原因は金融政策にも
MATTHEW DALTON
原文(英語)
2015 年 6 月 12 日 14:58 JST
職業安定所に並ぶ求職者(アテネ、11日) Bloomberg News
ロックバンドのU2とポーグスが1986年、アイルランドのダブリンで慈善コンサートのステージに立ったとき、彼らの目的はアフリカの児童飢餓救済ではなく、同国の労働人口の16%超にあたる数十万人もの失業者を救うことだった。
アイルランドだけではなかった。当時はフランスやイタリア、英国でも失業率は9%以上で、スペインでは16%でさらに上昇していた。
だが、レーガン政権2期目の米国では失業率が7%で、早急に低下していた。
欧米の失業率は世界金融危機の最悪期こそ近づいたが、現在ではこうした相違が再び明らかとなっている。欧米間の相違がこれほど根強い理由に、エコノミストらは頭を悩ませている。
だが、金融政策当局にはその答えが明らかだ、との主張も若干聞かれる。インフレを抑制し、通貨統合を図るための金融引き締めが、欧州の労働市場を傷つけたというわけだ。
この説は、1960年代に始まったケインズ理論の批判によって経済学に根付いた正説に相反している。金融政策は成長や雇用など実体経済の変数には影響せず、したとしても比較的短期の影響にとどまるとされている。この正説こそ、欧州の中央銀行当局がインフレ対策を指針とし、雇用をほぼ考慮しない理由だ。
米連邦準備制度理事会(FRB)には雇用の最大化と物価の安定という二大責務がある。1979年のオイルショックが招いたインフレを抑制しようと、当時のボルカー議長は80年代初めに大幅な利上げに踏み切ったが、程なくしてFRBは失業を抑えるために金融政策を積極的に緩和した。
だが、米ジョンズ・ホプキンス大学のローレンス・ボール経済学教授は、欧州の中銀はインフレが低下しているにもかかわらず金融引き締めを継続したと指摘している。
「2桁のインフレを受け入れる覚悟が誰にもないなら、金融政策を引き締め、高い失業率に耐えざるを得ないだろう」とし、「これは痛みを伴う薬だが、欧州諸国には過剰に処方された」と述べた。
エコノミストらは一般的に、労働市場など他の要因が相違の背景だと考えてきた。大半の欧州諸国に比べると、米国の労働組合は弱く、失業保険は手厚くない。従って米国労働市場は経済的ショックに適応しやすい、という主張だ。だが、先進国全般と国内の労働市場の経時的変化と、失業の変動に相関性はほぼないことが、さまざまな研究で判明している。
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失業率の推移、EUの15カ国(青)と米国(オレンジ)
ユーロの前身である欧州通貨制度(EMS)の要求も重要な役割を果たした。1979年に発足したEMSは、創設メンバーの8カ国に対し、各国通貨間の為替レートを事実上固定するよう要請した。通貨の売り圧力が高まった国に対しては、高金利を維持して通貨切り下げを回避するよう求めた。
フランスやイタリア、アイルランドなどのEMS加盟国は、世界で有数の低インフレを誇る旧西ドイツの通貨ドイツマルクに対する自国通貨安をたびたび防衛しなければならなかった。こうした取り組みは時に失敗し、限定的な通貨切り下げが容認された。だが、実質金利は高いのが常だった。
英国にはさらに証拠がある。1980年代には金融引き締めを実施したが、90年代初頭に英ポンドとドイツマルクの連動を放棄して以来、金融政策は一般的に欧州大陸よりも緩和的となっている。失業率は現在5.4%だ。
ポルトガルとスペインの相違にも注目だ。ポルトガルは80年代〜90年代、何年にもわたり欧州有数の低失業率を誇っていた。隣国スペインでは欧州有数の高さだった。労働市場制度や独裁体制脱却の歴史という点で、両国は似ているにも関わらずだ。
80年代に国際通貨基金(IMF)の南欧担当局長を務めたテレサ・テルミナシアン氏は、ポルトガルが83年、IMFとの支援交渉の一環として大幅な通貨切り下げを受け入れたと述べた。その後、競争力を維持するために通貨エスクードのさらなる下落を容認する政策を導入したという。スペインは「ポルトガルほど積極的に為替レートを利用しなかった」と同氏は述べ、「彼らにとって、低インフレの維持が重要な政策目標だった」とした。
ジョンズ・ホプキンス大のボール教授は、欧州の金融政策の保守主義が、欧州中央銀行(ECB)の現在のDNAの大部分を占めていると語る。同教授は、ユーロ導入から間もない2000年にECBが主催した会議で、自身の研究結果を発表したという。後にECB総裁となるジャンクロード・トリシェ氏とパネル討議に出席したボール教授は、欧州金融当局が過去20年にわたり深刻な過ちをいくつか犯したと主張した。
「誰かが警備員を呼び、私を場外へ引きずり出さないかちょっと心配だった」という。「実際に起きたことはある意味、それよりひどかった。『きょうで世界が終わる』と書かれた看板を持って街角に立っている男がいても、ただ一笑に付すだけだろう。害はないから立ち去る。大体そのような反応だった」と振り返った。
米国のインフレ、下押し圧力後退か
SPENCER JAKAB
原文(英語)
2015 年 6 月 12 日 15:43 JST
5月のCPI、PPIはエネルギー価格安の影響が見られる最後の指標となるかもしれない Elise Amendola/Associated Press
「一過性の」(transitory)という言葉を辞書で引くと、「つかの間の」「一時的な」「短期間の」「短命な」などの意味が出ている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が昨年12月、原油安のインフレへの影響は「一過性」だと指摘した際、これに対する議論は出なかった。賢明なエコノミストのように、議長は原油安が経済指標に与える影響が消え去る時期について予想などしない、という知恵を持っていたのだ。しかし、それでもなお陰気な科学者たちはとりあえず、今月のカレンダーに丸印を付けている。なぜなら、少なくとも今月は終わりの始まりだからだというのだ。
エネルギーをはじめとする商品(コモディティー)価格が急落を始めたのは1年前だった。ほどなく、新興国通貨がこれに続いて売られた。これは商品安の影響を「一過性」としたイエレン議長の発言に後押しされた可能性が高いが、より最近になって米国の主要貿易相手国の通貨が下落している。日本やユーロ圏で量的緩和が継続する中でも、米国は利上げに踏み切るとの見方から、海外投資家は米国債市場へ向かっている。
5月の物価関連指標、つまり、12日に発表される卸売物価指数(PPI)と18日の消費者物価指数(CPI)は、こうした商品市場のディスインフレ圧力や為替の影響が現れる指標として最後のものとなる可能性がある。4月のPPIとCPIはそれぞれ前年同月比1.3%と0.2%の低下となった。ウォール・ストリート・ジャーナルがエコノミストを対象に実施した調査によると、6月の指標発表までにCPI上昇率は前年同月比で0.2%に回復していると予想されている。また、12月までには1.2%上昇、1年後については2.1%上昇が見込まれている。
米国のCPI(前年同月比)の推移 The Wall Street Journal
今後数カ月間は引き続き、エネルギー安とドル高が足かせとなるのは間違いないだろう。ただ、前年比での影響は後退し始めているのかもしれない。
為替市場での影響は根強く残っているものの、最近見られたドルの小幅な反落やエネルギー価格の上昇で、輸入品を通じたデフレ傾向は後退している。11日発表された5月の輸入物価指数は、前月比では2014年6月以来の上昇に転じた。前年同月比では依然として9.6%と大きく低下したが、3月の同11%低下からは回復している。
確かに、これらはFRBが参照している物価指標ではなく、FRBは「一過性」の要因を重視しない傾向がある。ただ、景気回復に伴い総合CPIとPPIが持ち直せば、ゼロ金利解除を告げるドラムロールの音量は増す可能性がある。債券市場でこのところ売りが目立つ背景には、こうした理由もあるのだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB4QFjAAahUKEwj1u5jL44nGAhXCLrwKHbx1AEI&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11793851007525823752504581043013128473394&ei=vZ16VbXpA8Ld8AW864GQBA&usg=AFQjCNHrBeXVL-dyNTSx3Ri1F1BH9rs70g&sig2=nP1rG-9hC9kd4HrdVe1VyA&bvm=bv.95515949,d.dGc
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1-3月期の米GDP、0.7%のマイナス幅は誇張しすぎか
By JOSH MITCHELL
原文(英語)
2015 年 6 月 12 日 13:37 JST
5月の小売売上高は自動車とガソリンがけん引したが、3月と4月の小売売上高が上方修正されるなど、改善は全体に及んだ Getty Images
米国経済は1-3月期にマイナス成長となった。しかし、本当にそうなのだろうか。
米商務省が先月発表した1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は、季節調整済み年率換算で前期比0.7%減となった。しかし今となっては、同省は基本的には「気にしないで下さい」と言う必要があるかもしれない。
その主な理由は、最近発表された各種統計で、消費者が冬場に小売店や医療サービスに従来予想されていたより多額の支出をしていたことが確認されたことにある。米国で個人消費は経済全体の3分の2超を占める。その大きな経済主体でこのような結果となったため、1-3月期のGDP予測を修正する民間エコノミストが相次いでいる。
調査会社マクロエコノミック・アドバイザーズは現在、1-3月期の米経済はマイナス成長ではなく、ゼロ成長だったと考えている。JPモルガン・チェースなどはGDPが減少したとの見方を維持しつつも、より小幅な0.2%のマイナス成長だったとみている。
商務省は24日に1-3月期GDPの確報値を発表する。
全ての経済統計に当てはまることだが、政府はGDPや小売売上高、雇用統計などをまだ完全にデータがそろわないうちに速報値として発表する。そして、さらに新たなデータを入手した段階で速報値を改定していく。
GDPの場合は、当該四半期の翌月に速報値を発表し、その後、改定値と確報値を発表する(さらにその翌年にもう一度改定する)。1-3月期のGDPについては速報段階では前期比年率換算で0.2%のプラス成長だった。それが改定値では、3月に貿易赤字が大幅に拡大したことを反映し、0.7%のマイナス成長と修正された。
それではなぜ今、1-3月期のGDPはそれほどひどくないように見えるのか。
主な理由は二つある。10日に発表された診療所の売上高は予想を上回った。そして別の指標は、5月の小売売上高の急増に加え、消費が3月も含むそれ以前の月で、従来予想より強かったことを示した。
確かに、改定を経た後でも、今年の1-3月期は米経済にとって(悪夢とまでは言わないが)忘れられないものとなった。確報値でもマイナス成長のままなら、2009年の半ばにリセッション(景気後退)が終わって以来、四半期ベースで3回目のマイナス成長となる。たとえ横ばい、小幅なプラス成長に改定されたとしても、米経済は冬季に大きく減速したことになる。
4-6月期に既に米経済は反転したようで、多くの民間エコノミストは同期の成長率を年率2?3%と予想している。しかし、この上下の振れを全てならしてみると全体像はほとんど変わっていない。それは米経済が依然2%という緩慢な成長ペースから抜け出せていないようだ、ということだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB4QFjAAahUKEwielOHn5InGAhUDfbwKHbuEAFk&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11793851007525823752504581042833530670912&ei=BZ96Vd79GIP68QW7iYLIBQ&usg=AFQjCNHtQPxIS7BArh_qiEXfyGTNgnH-Og&sig2=jyUr7cwcvIVPGnZ4-ALetw&bvm=bv.95515949,d.dGc
世界の債券、4−6月は過去最大の下落か−欧州発の売り拡大
2015/06/12 15:05 JST
(ブルームバーグ):世界の債券相場は、このままいけば4−6月(第2四半期)のパフォーマンスが四半期ベースで過去最悪となる。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ・グローバル・ブロード・マーケット指数は3月末以降で2.5%下落。この状況が月末まで続けば、四半期ベースでは1997年の指数開始以来で最大の下げとなる。
今回の債券売りは、ドイツの過去最低水準の利回りを投資家が嫌気した欧州で始まり、米連邦準備制度が利上げを準備する状況で他の地域にも拡大した。
AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏は「債券は弱気相場入りしている、デフレ懸念の緩和が続き、米連邦準備制度は利上げに近づいている。債券利回り上昇が見込まれる状況になるだろう」と指摘した。
原題:Bonds Head for Worst Quarter on Record as Deflation Fears Ease(抜粋)
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記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net Nicholas Reynolds, Naoto Hosoda
更新日時: 2015/06/12 15:05 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NPTEXE6TTDS101.html
ECB、債券市場の変動は気にならないか
RICHARD BARLEY
原文(英語)
2015 年 6 月 12 日 15:01 JST
欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事 Reuters
ユーロ圏の債券市場は確かにボラティリティー(変動率)の上昇に慣れようとしている。だが、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、自らの言葉の選択をまだ後悔していない可能性が高い。
ファクトセットのデータによると、ドラギ総裁がボラティリティーの上昇は当然予想されると警告した後の5日間、10年物のドイツ国債利回りは1日の変動幅が平均0.12%となった。これに対し、過去1年の変動幅はおおむね0.04%〜0.06%だった。同利回りは10日の取引で1.06%まで上昇したが、11日には0.89%へ低下した。
ボラティリティーの上昇は間違いなく、利回りの短期的な方向性を読みにくくする。変動の多くはすでに終わったとの見方を支持する主張も聞かれる。ユーロ圏の経済成長とインフレに対する市場の認識が変わり、投資家は今やECBの量的緩和が利回りをさらに押し下げるとの見方に警戒心を抱いている。これを踏まえ、投資家が持ち高をどの程度動かしたかは明らかでない。債券がさらなる売りに見舞われる可能性はある。その上、市場の注目が米連邦準備制度理事会(FRB)やその利上げ見通しに移ることもあり得る。
ただ、債券投資家に眠れぬ夜を過ごさせる以外に、ボラティリティーはECBにとって問題だろうか。クーレ専務理事は10日、ECBが短期のボラティリティーに反応することはないが、インフレ目標の追求が困難になるような市場の「過度な変動」は容認しないと説明した。
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-IW454_bondhe_G_20150611113122.jpg
10年物ドイツ国債との利回り差(%)青はスペイン、緑はイタリア、水色はポルトガル
そうなると投資家にとっての課題は、変動が「過度」になりつつあるかどうか見極めることになる。投資家はドイツ国債利回りにまだこだわり過ぎるべきでない。利回りの上昇は金融の引き締まりを意味するが、過去基準に照らすとまだ極端に低い。そしてECBにとって重要なのは債券利回りだけではない。ベレンベルク銀行によると、ユーロは貿易加重ベースで2013〜14年の平均をまだ8.5%も下回っており、マネーサプライの最近の伸びや信用供与の好ましい傾向も良い兆候だという。
恐らくより懸念されるのは、南欧諸国の国債利回りが桁外れに上昇することだろう。それでも、スペイン、イタリア、ポルトガルの国債とドイツ国債の利回り差は過去1年に見られたレンジに収まっている。
市場はECBの政策姿勢に対する見方を大幅に変えた。クレディ・アグリコルによると、市場はこれまでいかなる引き締めの可能性も排除していたが、現在は2017年5月までに最初の利上げがあると予想している。だが投資家は、市場に対するECBの見方も相応に変化すると期待すべきではない。
ジャンク債は資金回収が心配、債券は緩慢な崩壊過程か-BOA
2015/06/12 14:49 JST
(ブルームバーグ):社債をいかに素早く売買できるかではなく、資金が戻ってくるかどうかという根本的な問題を買い手が心配し始めたらどうなるのだろうか。
歴史的な低水準にあるデフォルト(債務不履行)率を見る限り、米企業は良い状態にあると思われるが、バランスシートの具体的な中身をのぞくとはるかに悪い状況が見えてくる。
バンク・オブ・アメリカ (BOA)メリルリンチのアナリストによれば、基本的な利益指標を見ると、信用力が最も低いジャンク(投機的格付け)企業は、苦境にあるエネルギー関連企業を除いてもほとんど成長していない。それでも超低金利の下で借り入れコスト を固定するために急ピッチで社債を発行しており、返済負担比率は着実に上昇している。
気掛かりはそれだけではない。景気の全般的な拡大と低金利、低いデフォルト率というマクロ経済環境から期待するほど、債権者は破綻する企業から多くの資金を回収できそうにないのが現実だ。
BOAメリルリンチのマイケル・コントプロス氏は11日のリポートで、「われわれはこれを非常に懸念している。債券市場は緩慢な崩壊の過程にあると考えている」と指摘。ジャンク級社債がそのようなファンダメンタルな問題の影響から身を隠すことはできないとの見方を示した。
原題:Who Cares How Fast You Can Sell Debt If Borrowers Can’t Repay It(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Lisa Abramowicz labramowicz@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: David Papadopoulos papadopoulos@bloomberg.net; Caroline Salas Gage csalas1@bloomberg.net Caroline Salas Gage, Kenneth Pringle
更新日時: 2015/06/12 14:49 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NPTDT16JTSE901.html
債券は上げ幅拡大、米独債高やオペ支え−長期金利0.45%は売りとの声
2015/06/12 13:44 JST
(ブルームバーグ):債券相場は上げ幅を拡大。長期金利は2日ぶりに0.5%割れとなっている。前日の米国やドイツ相場が反発したことに加えて、日本銀行による長期国債買い入れオペが相場の支えとなっている。
12日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、午前高値の146円37銭を上回って午後の取引を開始し、前日比47銭高の146円42銭を付けた。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の339回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より3ベーシスポイント(bp)低い0.50%で始まり、0.505%を付けた後、0.495%と10日以来の0.5%割れとなった。いったん0.505%まで戻したが、午後に入ると再び0.495%に下げている。
JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「ドイツ国債1%程度、米国債2.5%程度と、海外金利がいったんピークを打ったという安心感が出て買いが優勢だ。入札イベントを通過して、海外市場も一段落した」と話した。ただ、「来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)や40年債入札を控えている。9月の米利上げがあるかなしかに関してヒントが出てくるか注目している」と言う。
11日の米国債相場は5月の小売売上高がアナリスト予想に一致する伸びにとどまったことや、欧州債の上昇を背景に買いが入った。10年債利回り は前日比11bp低下の2.38%程度となった。欧州債市場では、ドイツの10年物国債利回り が2日連続で1%台に乗ったものの、その後は買いが入って0.88%付近まで大幅低下した。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「6月後半は需給環境の良好さとハト派的な米連邦準備制度理事会(FRB)に支えられる形で、いったん戻り相場になる」とみる。一方、「今週の黒田東彦日銀総裁の発言は想定外であり、これが引き起こした日本の金融政策観の変化は残り続け、その分戻り余地は小さくなったと思われる。前回入札の落札利回り10年債の0.45%を割り込めば、利益確定売りが膨らむだろう」と言う。
日銀がこの日実施した長期国債買い入れオペ4本の結果によると、残存期間3年超5年以下と、10年超25年以下の応札倍率が前回から低下した一方、1年超3年以下と25年超は上昇した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 崎浜秀磨
更新日時: 2015/06/12 13:44 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NPRQZF6JIJUO01.html
債券市場の危険など「森の中の架空の生き物」-グッゲンハイム
2015/06/12 10:45 JST
(ブルームバーグ):債券は安全であり、大きな危険を市場に見いだそうとするのは、存在するはずのない生き物を森の中で探し回るようなものだとグッゲンハイム・パートナーズの最高投資責任者(CIO)、スコット・ミナード氏が指摘した。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がニューヨークで11日に開催した会議で、ミナード氏は伝説の雪男に言及し、「債券バブル、あるいは信用バブルの『サスカッチ』を探し続けたが、いずれも見つからなかった」と語った。
同氏は「バブルの水準でないのはもちろんだが、クレジットの過大評価を示す兆候は今の経済に見られない。クレジットが今後2年で著しく悪化する可能性は非常に低いと思える」と発言。主要国の中央銀行が景気刺激を目指す中で、長期金利は今の低い水準にとどまるか、さらに低下する可能性すらあるとの見通しを示した。
原題:Bond Bubble Is Fiction Like Sasquatch, Guggenheim’s Minerd Says(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Sonali Basak sbasak7@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Dan Kraut dkraut2@bloomberg.net; Shannon D. Harrington sharrington6@bloomberg.net Shannon D. Harrington
更新日時: 2015/06/12 10:45 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NPT5IU6KLVR601.html