海上保安庁が請願拒否 「経産省前逮捕劇」あわや再現
http://tanakaryusaku.jp/2015/06/00011359
2015年6月10日 22:47 田中龍作ジャーナル
「出て行ってくれ」。ガードマンは怒鳴り、請願に訪れた実行委を実力で追い返そうとした。=10日夕、国土交通省正門 写真:筆者=
「経産省前の逮捕劇」を思い起こさせる光景が今夕、国交省前であった。
逮捕劇とは、門扉の外であったにもかかわらず「経産省の敷地に入った」として建造物侵入の疑いで男性3人が警察に逮捕された事件である。
今夕、市民団体が海上保安庁を訪れ佐藤雄二長官宛ての要請書を提出しようとしたところ、再び同じような事件が起きそうになった。
経緯はこうである―
米軍辺野古基地の予定地とされている大浦湾では、海上保安庁による過剰警備が問題視されている。
抗議船を転覆させた余韻のさめないなか、6月4日には制限区域内を泳いでいた反対派の男性にゴムボートを衝突させた。海上保安官による暴力は枚挙に いとま がない。
先月、福島みずほ議員が海上保安庁警備課を議員会館に呼びつけ、口頭で注意を与えたばかりだ。
このため「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」が海上保安庁に対して過剰警備を止めるように要請することになり、きのう、同庁広報部に要請文をファックスした。
ファックスの後、電話で翌日、海上保安庁を訪れ、佐藤雄二長官あての要請文を手渡すことを告げた。
憲法16条で保障された「請願権」(※)の行使である。
制服警察官と私服刑事たちは遠巻きにしながら建造物侵入を現認していた。=10日夕、国土交通省正門 写真:筆者=
実行委員会の一行はきょう午後6時30分、同庁が入る国土交通省を訪れた。公道から同省の敷地に2〜3m入った所で、ガードマンに制止された。
ガードマンは身振り手振りを交えて「出て行け」と怒鳴った。
実行委員会のメンバーが「広報課に連絡を取ってくれ」と頼んだが、ガードマンは聞く耳を持たなかった。
虎の威を借りた狐なのか。ガードマンの剣幕はいっそう激しくなり「出て行ってくれ」を繰り返した。
2〜3mとはいえ確かに一行は国交省の敷地の中に入っているのである。
背後では数人の制服警察官と1人の私服がやりとりを注視していた。建造物侵入を現認しているのである。
要請書の提出を見届けるため田中も敷地の中に入った。経産省前の逮捕劇が頭によみがえった。
実行委員会の一人も「あれ(経産省前の逮捕劇)が一瞬、頭に浮かんだよ」と苦笑いを浮かべた。
最後に実行委員会の方で広報部に電話連絡した。広報部はガードマンに受け取らせることさえ拒否した。
この国は請願権の行使さえもできない国になってしまったのだろうか。
「憲法で認められているじゃないか」と言って行使すると、逮捕される可能性もある。
◇
※
【憲法第16条 請願権】
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令または規則の制定、廃止または改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。