勢力圏拡大止まらず=日本の面積に匹敵か―「イスラム国」台頭1年
時事通信 6月9日(火)14時28分配信
【カイロ時事】過激派組織「イスラム国」が2014年6月にイラク北部モスルなどを制圧し、イラクとシリアにまたがる地域で国家樹立を宣言して1年。米軍主導の有志連合による空爆にもかかわらず、同組織は両国で猛威を振るい続け、リビアなど各地の過激派からも忠誠表明を取り付けて勢力圏を拡大させている。
同組織はインターネット上に最近公開された英字機関誌「ダビク」の中で、イラクとシリアの支配地域に加えて「パキスタン、ナイジェリア、リビア、イエメン、(エジプト東部)シナイ半島の多くの地域が、黒い旗の下で一体化した」と主張。昨年6月10日にモスルを掌握してからの急速な台頭を自賛した。
AFP通信によると、フランスの地理学者でシリア情勢に詳しいファブリシュ・バランシュ氏は、イラク、シリア両国での支配地域が30万平方キロ近くに達したと分析する。事実なら、両国以外で忠誠を誓った各国の過激派の支配地域も含め、日本の面積(約38万平方キロ)に匹敵する勢力圏を有することになる。
ブリンケン米国務副長官は3日、仏ラジオ局のインタビューで、これまでの米軍主導の有志連合による空爆作戦によって「イスラム国」のメンバー1万人以上を殺害したと語った。戦闘員は3万人程度と見積もられ、その3分の1に相当する。指導者のバグダディ容疑者についても一時、空爆で負傷したとの情報が飛び交った。
しかし、これまでのところ組織に大きなほころびは見られない。それどころか同組織は、5月にイラク中西部アンバル州の州都ラマディやシリア中部の遺跡都市パルミラを相次いで制圧。イラク北部ティクリートを同国軍が奪い返した3月ごろと比べ、勢いを盛り返しているように映る。
背景には外国人参加が途絶えていない上、イラクやシリアの政権に批判的な制圧地域の住民からの支持を断ち切れないという事情がある。有志連合の政策調整に当たるアレン米大統領特使は「イスラム国のイデオロギーを打ち負かすには1世代、あるいはそれ以上かかるだろう」と厳しい見通しを示している。
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最終更新:6月9日(火)22時25分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150609-00000082-jij-m_est
死者23万人に=シリア内戦
【カイロ時事】在英のシリア人権監視団は9日の声明で、内戦が続くシリアでの死者が23万人を超えたことを明らかにした。2011年3月に大規模な反政府運動が起きて以降、情勢悪化に歯止めがかからない状況だ。
監視団によれば、8日時点での死者数が23万618人に達した。この中には、アサド政権や過激派組織「イスラム国」に拘束されて行方不明になった人々は含まれておらず、実際の死者数はさらに多いとみられる。(2015/06/09-20:32)
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http://www.asyura2.com/15/warb15/msg/621.html