3.11のときの首都圏(C)日刊ゲンダイ
小笠原沖M8.1でリスク増 東京湾が「巨大津波」に襲われる日
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2015年6月2日 日刊ゲンダイ
大きな長い揺れに3.11を思い出した人も多かったのではないか。
30日夜に小笠原諸島西方沖を震源とした地震は、東京都小笠原村・母島などで震度5強、埼玉県春日部市などで同5弱を観測。マグニチュード(M)は8.1、震源の深さは682キロだった。M8以上では、最も深い震源だという。
フィリピン海プレートの下に沈み込む太平洋プレートの内部が何らかの理由で壊れたのが要因とみられる。M8クラスの地震だったにもかかわらず、不思議にも津波は全くなかった。
「太平洋プレートが北米プレートに沈み込むような形で起きた東日本大震災では、北米プレートが跳ね上がったため、巨大津波が発生した。今回の地震はその時とは、メカニズムが違います。もし、太平洋プレートが壊れるのではなく、フィリピン海プレートが跳ね上がっていたら、巨大津波が発生し、東京は海にのみ込まれていたでしょう」(立命館大環太平洋文明研究センター・歴史都市防災研究所の高橋学教授)
■埼玉や群馬も水浸し
今後、小笠原諸島付近を震源とする巨大地震が起こり、津波が発生した場合、津波は東京湾に到達。埼玉県や群馬県にも被害が及ぶといわれている。規模にもよるが、埼玉県の一部では、津波で一度水がついたら、自然には排水できず、長い間浸水した状態が続くという。考えるだけでも恐ろしいが、その可能性はあるのか。
「今回の地震で太平洋プレートとフィリピン海プレートの境目で、活動が活発化していることがはっきりしました。このまま太平洋プレートが沈み込むなどの動きが続けば、いずれフィリピン海プレートが跳ね上がる可能性は十分にある。つまり、東京湾を襲う巨大津波の発生リスクは強まったということです。また、太平洋プレートがフィリピン海プレートに影響を与えていることを考えると、近いうちに首都直下地震が起こってもおかしくありません」(高橋学教授)
いずれにしろ、今回の地震は何かの“シグナル”と受け止め、備えなければなるまい。