ポツダム宣言を否定した産経は深刻な外交問題を起こすのではないか
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2015年5月22日 天木直人のブログ
きょう5月22日の産経新聞が「ポツダム宣言を聖典化する愚」と題する阿比留瑠比と名乗る政治部編集委員の「極限御免」というとんでもない論評を掲載した。
安倍首相の、「ポツダム宣言を読んでいない」という致命的な国会発言を弁護するつもりで、軽い気持ちでこのような論評をしたのかもしれないが、これは安倍発言をはるかに上回る深刻な論評だ。
下手をすれば安倍政権を巻き込んで共倒れする危険すらある。
その論評の詳細をここで私は繰り返さないが、一言で言えば、あのポツダム宣言は、戦いを有利に進めていた日本の戦争相手国が出したものであり、日本を「悪者」として位置付けるのは当然である、ポツダム宣言を絶対視する共産党の志位委員長はどこの国の政治家か、と非難するものである。
酒の場の憂さ晴らしで言うならいいだろう。
しかし、いやしくも日本の新聞社を名乗る産経が、ポツダム宣言をここまで貶める論説を書いてはおしまいだ。
好き嫌いの話ではない。議論してもいいが否定してはいけない。
日本は戦争に負けてポツダム宣言を無条件で受け入れたのだ。
だからこそ、日本はあれ以上の惨禍を免れたのであり、何よりも国際社会に復帰できた。
つまり日本が今日ある大前提が、ポツダム宣言を受け入れたという一大政治判断なのである。
戦後70年のいま、それを蒸し返してどうする。
もし戦勝国のいずれかが、本気でこの産経新聞の論評を各国の言葉に翻訳し、大騒ぎをするようになれば、日本外交は窮地に立たされる。
産経の嫌いな中国が安倍談話でがぜん有利に立つ事になる。
その時、阿比留瑠比という論説委員や産経新聞はどう責任を取るつもりか。
産経は致命的な論評を掲載してしまったのかもしれない(了)
Photo by : チャンネル桜 「SakuraSoTV」 [https://www.youtube.com/watch?v=ngBNMoiCi4k]