雑感。安倍政権の大盤振る舞い
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2015年05月23日 在野のアナリスト
IMFによる対日経済審査報告書、円安でインフレ率は2015年末まで1.5%、ただし景気後退と物価上昇がおこる、スタグフレーションの可能性を示唆しました。すでに2014年度はマイナス成長と物価上昇によるスタグフレーションともいえますが、増税の影響が消え、反動の反動の影響が消える5、6月以後、成長率が鈍化し、マイナス成長に陥るようだとスタグフの声が海の向こうから聞こえてくるのでしょう。日本のメディアでは怖くて使えないスタグフレーション。米中の景気減速を示す指標がいくつも散見され、インバウンド消費と円安による輸出で支えられた日本の景気にも、深刻な影響を与えることが確実です。そのときまで円安が続いているようだと、スタグフについても考察する必要に迫られてくるのでしょう。
安倍首相が太平洋・島サミットの演説で、3年で550億円もの財政支援を約束しました。3年前の野田政権時代の400億円を上回り、強烈なインフレになっています。先に、アジア開発銀行やODAを通じて、5年間で13.2兆円の投資をめざす、なども発表されており、大盤振る舞いが次から次へと出てきます。こうした支援のケースで必ず語られるのが、中国と対抗という言葉ですが、そもそも対抗する意味などありません。日本だけが遮二無二、対抗心を剥きだしにして資金をベットしており、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の資本金も1000億$規模とされることから、短期的に3〜4倍に投資資金が膨らむアジアで、バブルが生じる恐れもあります。
しかしここまででさえ、先進国の緩和マネーが流れこみ、バブル化しているとの懸念もあるアジアで、投資資金が流れこんだらどうなるか? 正直、危険性しか感じません。米国が利上げ局面となり、流れこんでいたマネーが逆流すればバブルが弾けて景気が悪化し、インフラ整備もままならなくなるかもしれない。今のアジアは、資金の流れに敏感になっていないと、いつ資金ショートが起きるかもしれない。そんな不安定な市場になろうとしているのです。
この安倍政権の大盤振る舞い、安倍氏の対抗心というばかりでなく、財務省、外務省の利権とかぶっているだけに、日本が前のめりすぎるほど前のめりな点には、不安しか感じません。残念ながら、それほど優良な投資案件は残っておらず、AIIBと食い合いになるのが確実です。アジアで起きるプチバブルと、その崩壊と、世界経済を不安定化させる要因になりかねないのでしょう。欧州のギリシャと同じように、アジアのギリシャ探しが始まるときが危険となります。
安倍政権になって、急速に拡大する海外支援のための財源、それは国民の血税と国債による資金調達です。しかしその国債発行には限界説もあり、IMF報告書には「財政の持続可能性に疑問…」とあります。日本がスタグフに陥るとき、急速に国債の信認が失墜していくことにもなるのです。すでにその萌芽がみえる、日本の景気。日本の財政に不安が生じるということは、融資先も不安に巻きこまれる、ということにもなります。そうした世界同時景気後退の引き金を、中国がひくのか、日本がひくのか、今はその競争をしているようにしか見えません。融資先を募るというより、そうやって経済が同時に崩壊してもいい、そんな有志国をどう集めるか? そんな競争に陥りかけているのが、現状なのでしょうね。