箱根山で地震回数が増加 注意呼びかけ
動画⇒http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150503/k10010069111000.html
5月3日 18時22分 NHK
神奈川県の箱根山では、先月下旬から山の浅い場所での地震回数が増え、温泉の蒸気が勢いを増すなどの変化が観測されています。
気象庁は、今後、大涌谷付近では規模の小さな噴気などが突発的に噴出する可能性があるとして、自治体などの指示に従って、危険な地域には立ち入らないよう注意を呼びかけています。
気象庁によりますと、箱根山では先月26日の午後から、大涌谷から神山付近の地下の浅い場所を震源とする規模の小さな火山性の地震が増えていて、先月28日には1日の地震の回数が146回に達し、3日も午後5時までに69回と、回数の多い状態が続いています。
また、地震の増加に伴って、山の膨張を示すと考えられる僅かな変化が観測されているほか、大涌谷の温泉施設では蒸気が勢いよく噴き出しているのが確認されたということです。
箱根山では、過去にも群発地震や噴気が多くなるなどの状態が数年に1度繰り返し起きています。
気象庁は、地下の浅い場所で熱水が不安定な状態になっていて今後、大涌谷付近では規模の小さな噴気などが突発的に噴出する可能性があるとして、自治体などの指示に従って、危険な地域には立ち入らないよう注意を呼びかけています。
神奈川県温泉地学研究所の竹中潤研究課長は、「震源の位置や深さは過去の群発地震と似ているが、まだ1週間程度なので詳しい判断はできない。群発地震は、1、2か月から半年程度続くこともあり、今後しばらくは活動の状況に十分注意してほしい」と話しています。
箱根山の過去の火山活動
神奈川県の箱根山は、複数の溶岩ドームからなるカルデラ火山で、最も高い神山は、標高が1438メートルあります。気象庁によりますと、13世紀ごろに水蒸気爆発が起きて以降は、噴火の記録はありませんが、これまでにも、群発地震や噴気活動などが活発になる状態が繰り返し起きています。
14年前の平成13年には、2か月余りの間に体に感じない地震を含めて1万4000回近くの地震が発生し、山が膨らむ地殻変動が観測されたほか、温泉水が吹き出したり、火山ガスが増えたりしたため、周辺の観光施設が、一時的に営業を中止するなどの影響が出ました。
また、4年前の東日本大震災を引き起こした巨大地震の直後には、大涌谷付近で、一時的に地震活動が活発になりました。
大涌谷は箱根を代表する観光スポット
大涌谷は、箱根山で最も高い標高1438メートルの「神山」の北側の斜面に位置します。
独特の景観や車やロープウエーで手軽に行けるアクセスのよさなどから、海外からも大勢の観光客が訪れる箱根を代表する観光スポットになっています。
地元の箱根町や神奈川県などは御嶽山の噴火を教訓に、ことし3月、箱根山の噴火を想定した観光客の避難誘導マニュアルをまとめ、先月には、現地で観光客に避難を呼びかける訓練も行われました。