マイナンバー制度の運用開始後に、マイナンバーの開示が必要となる社内事務手続きについて知っているものは?
半年後に迫る「マイナンバー」施行、中小企業と大企業の対応差鮮明に
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150501-00010004-dime-bus_all
@DIME 5月1日(金)16時0分配信
いよいよ今年10月に施行されるマイナンバー制度。行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤として、住民票を有する全ての国民にユニークな番号を付与し、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理、複数の機関に存在する個人の情報が同一個人の情報であることを確認するために活用される。
これに期待される三大効果として、「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性向上」「行政の効率化」が挙げられているが、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)では、2015年10月に施行、2016年1月から運用開始となる「マイナンバー制度」における、民間企業担当者の意識と、制度施行・運用開始に向けた準備状況などの実態を確認するための調査を実施した。
今回の調査は正社員、会社役員・経営者を対象とし、企業規模を社員数で4つのグループに分類、また担当業務を「情報セキュリティ・ITインフラの導入運用に関する業務」と「経営者、役員、経理・会計、人事・総務」の2つのグループで分類し、合計8つのグループでそれぞれの回答結果をレポート。
調査の結果、マイナンバー制度への理解・検討は進んでいる反面、実際に対策を行うのは、これからという企業が大半であること、また企業規模によってマイナンバー制度に対する意識や姿勢、準備・検討状況に差がある実態が確認された。2015年10月の施行まで半年間を切っている状況を考慮すると、今後「かけこみ対策」を行う企業が増加することが予測される。
■マイナンバー対応範囲の認知率「健康保険」「厚生年金」「源泉徴収」以外は半数以下
はじめに、マイナンバー制度の運用開始後に、マイナンバーの開示が必要となる社内事務手続きについて、項目別に「知っていた項目」を回答してもらった。認知率が最も高かったのは「健康保険加入」の68.3%、2位は「厚生年金加入」の63.8%、以降「源泉徴収(51.6%)」、「確定申告など税の手続き(47.7%)」、「給与支払い(43.4%)」と続いた。
この結果を担当業務別、企業の社員数別で比較してみたところ、社員数100人未満と、101人以上で差が見られ、101人以上の企業は100人未満に比べ、ほぼすべての項目で理解度が高い結果となったが、「健康保険加入」と「厚生年金加入」「源泉徴収」以外の項目では、全て半数以下に留まった。
マイナンバー制度の対応は、従業員何人の会社から必要と思うかについても聞いてみると、この設問は「1人以上」が正しい回答となるが、「1人以上」の回答率は全体で50.0%、情報セキュリティ・ITインフラの導入担当者の回答でもほぼ同様の結果となった。さらに、企業の社員数別で比較をしてみたところ、社員数が多いほど「1人以上」の回答率が下がり、社員301人以上で最も低く43.1%。社員数101人以上の6割近くが誤った認識をしていることがわかった。
さらに、マイナンバー制度の対応として、対象とする必要があるのはどの従業員までだと思うかについても確認してみたところ、最も認知率が高かったのは「会社員(一般社員〜主任・係長)」で87.4%、次いで「会社員(管理職:課長〜部長・執行役員)」が74.4%、その他の項目も軒並み高い認知率となったが、「業務委託先の個人(フリーランス)等」 は、全体で32.3%と低く、情報セキュリティ担当でも同様の結果となった。
■マイナンバー制度への準備「施行の半年前」が最多!「わからない」も多数
マイナンバー制度の施行は2015年の10月だが、会社はいつごろまでに準備を完了するべきだと思うか聞いてみると、全体で最も多かった回答は「施行の半年前」で24.8%、2位は「施行の3ヶ月前」が19.8%、3位は「わからない」で18.5%となった。
また、マイナンバー施行に向けた準備がどの程度進んでいるかどうかを聞いてみたところ、最も多かったのは「何も進めていない」の43.6%。「既に準備が完了している」はわずか3.7%、「準備を進めている段階」は19.0%、「準備を始めたばかり」も11.0%に留まり、全体の約7割が準備を始めていないことがわかった。
この結果を、担当業務別で比較してみたところ、情報セキュリティ・ITインフラ担当は「準備を検討〜準備完了」の回答が6割以上(62.6%)だったのに対し、経営者、役員、経理・会計、人事・総務担当では5割程度(50.3%)に留まった。また社員数別でも比較してみたところ、社員数が少ないほど、準備をしている率が低くなり、社員1〜20人では、全体の約8割に相当する75.4%が「何も進めていない」と回答している。
■マイナンバー制度への対応姿勢は 「必要な範囲で」が多数派!社員数が多いほど積極的
マイナンバー制度への対応姿勢について、回答パターンを4段階で聞いてみたところ、全体で最も多かったのは「必要な範囲で対策を行うべき」の37.9%、2位は「必要最低限の対策を行うべき」で28.1%と、全体の7割近くが「必要な範囲で」と消極的な姿勢がうかがえる。
この結果を社員数別で比較してみたところ、社員100人未満の企業では「範囲を限定せず積極的に取り組むべき」と「必要な範囲で対策を行うべき」の合計値が44.3%であったのに対し、101人以上の企業では、69.2%と約25ポイントも高い結果となった。また、検討しているマイナンバーの管理方法について、複数選択で聞いてみたところ、全体の42.1%が「わからない」と回答。
具体的な方法として最も回答率が高かったのは「マイナンバー対応ソフト(業務用)」の28.1%、次いで「マイナンバー対応ソフト(市販用)」の17.0%となりました。この結果も社員数別で比較してみたところ、社員数が少ないほど「わからない」の回答率が高い結果となった。
■マイナンバー対応への2大課題=「セキュリティ強化」「社員からのマイナンバーデータ回収」
マイナンバー制度に対応するうえでの課題についても聞いてみたところ、全体で最も多かったのは「個人情報保護、セキュリティ対策の強化」で41.6%、以降「社員からマイナンバーデータを回収すること(30.8%)」、「マイナンバー対策への費用捻出(30.5%)」と続いた。担当業務別では差が見られなかったが、社員数が多い企業ほど、ほぼ全ての項目で回答率が高く、課題への意識が高い様子がうかがえる。
■マイナンバー対策中小企業は「社員のみで対応」、大企業は「社員と外部パートナーで対応」
マイナンバー対策をどのような組織体制で行っているかについて、三者択一で聞いてみたところ、全体で最も多かったのは「社員のみで対応する」で52.4%、次いで「社員と外部パートナーで対応する」で43.0%。「外部パートナーに完全委託する」は4.5%と少数に留まった。この結果を社員数別で比較してみたところ、社員数が少ないほど、「社員のみで対応する」の率が高い傾向となっている。
■個人情報保護・セキュリティ対策の自己評価に格差
現在の個人情報保護やセキュリティ対策状況がどの程度のレベルだと思うかを、5段階で自己評価をしてもらったところ、最も多かったのは「一般的な水準で対策ができている」で43.5%、全体平均では2.8ポイントとなった。この結果を社員数別に比較してみたところ、社員数が多くなるにつれて、自己評価も高くなり、社員1〜20人の企業では平均が2.3ポイントだったのに対し、社員301人以上の企業では平均3.3ポイントと、1ポイントの差が出た。
◎調査概要
調査方法 |インターネット調査
調査機関 |2015年4月10日〜4月12日
調査エリア |全国
有効回答数 |874名 (男性:83.2%、女性:16.8%)
回答者年齢 |30代:33.0%、40代:33.2%、50代:33.9%
回答者職業 |有職者|一般社員〜主任・係長:65.5%、課長〜部長・執行役員:29.1%、会社役員・経営者:5.5%
回答者担当業務 |A=情報セキュリティ担当・ITインフラの導入や運用に関する業務:49.3%|B=経営者、役員、経理・会計、人事・総務:50.7%
企業の社員数 |社員1〜20人:25.6%、21〜100人:25.0%、201〜300人:24.7%、301人以上:24.7%
@DIME編集部