雑感。日経の世論調査
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52700628.html
2015年04月19日 在野のアナリスト
最近、Appleが大規模な広告戦略にうって出ています。Apple Store前の行列がトラブルとなり、今後は行列をつくらせない、と表明したことが影響するのでしょうが、行列が広告戦略の一つだったとしたら、それはサクラの存在を疑わせるものとなります。逆に、お金をかけない広告だったのなら、今回はかなりコストアップを強いられる、ということにもなります。日本の飲料メーカーも出荷停止をくり返す、飢餓感商法が問題視されていますが、ある意味でこうした商法にも転換がみられるように、世界は今、大きな転換点に来ているのかもしれません。
日経新聞の世論調査で、景気回復を実感しているか? との問いに78%が「実感していない」と答えています。しかも増税から1年たち、1年前と比べて生活は? との問いに「変わらない」が60%、「悪くなった」が37%、「良くなった」が1%と、衝撃的な内容です。この1年、一貫して実質賃金が下がりつづけたのですから当然ですが、昨年もこの時期は賃上げ、賃上げと好意的に取り上げてられて、この結果というのが重要です。さて、今年も安倍首相が、賃上げを桜前線に準えましたが、まさに桜のように春だけ大騒ぎするだけでは、まったく意味がありません。再来年の消費税再増税も58%が反対と、この結果をみても経済政策の失敗がうかがえます。
しかも集団的自衛権、辺野古移設、原発再稼動まで、安倍政権の政策には悉く反対の方が多い。日経なので、経済意識の高い層の回答が多い、とみられますが、それでも政策全体にまで反対するのは、安倍政権への評価がそれだけ低い、ということの表れなのでしょう。ただ、政権の支持率は50%超え。ただし支持する理由で、もっとも多いのが「安定感がある」というのですから、要するに支持率の高いことが理由であって、ここには奇妙な好循環が生まれている形です。
以前から、世論調査には懐疑的な見方も強いですが、支持する→安定する→だから支持する、という流れで支持率が高いのなら、政策自体の評価が低くても納得できます。安倍政権でなければいけない、という積極的支持ではなく、安定する政権を支持する、ということです。
しかし世論調査にはサクラもいる、とされます。それこそ同じ家に何度も調査して、前回と同じ結果を導こうとしているのでは? とも囁かれるものです。つまりその方が全体の意思を確認する、という世論調査の意味合いが変わり、傾向の変化を読み解く、といった形にもなるからです。確かにそれだと視聴率の調査とも同じです。同じ家庭がみる番組が変わったら、それは趣味嗜好の変化を知る、との意味もあるのでしょう。ただし、世論調査としては正しくありませんが…。
安倍政権では広告宣伝費が拡大しており、それもメディア統制の一つ、とされています。中国をもちだし、危機感を煽って集団的自衛権や辺野古移設の必要性を説いても、電力が足りないと原発再稼動を訴えても、国民にはまったく伝わらない。Appleの広告宣伝戦略も転換しましたが、安倍政権の行っているちぐはぐな広告宣伝戦略は、まったく的外れであり、失敗している、とも言えるのでしょう。安倍政権の支持者が過半数なのに、政策はまったく支持しない、という流れは、政治への飢餓感の方がより高まっている、といえるのかもしれませんね。
本社世論調査 質問と回答の詳細
2015/4/19 22:00 日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO85876300Z10C15A4000000/