雑感。戦後70年の経済
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52688181.html
2015年03月21日 在野のアナリスト
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と国家公務員共済組合(国共済、KKR)などが、運用指針を正式発表しました。国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%です。既報されていましたが、これが株式の強気材料として、これまでの上昇を支えてきましたが、ここ2週間ほどやや様相を異にしています。国内勢は小幅ですが、売りが目立つものの外国人投資家が買う。しかも約2ヶ月買い進めた先物は売りに転じているものの、現物株式の買いが目立つのです。
外国人投資家も一枚岩ではありませんが、先物で買い上げておいて現物株を買う、という些か損な取引にみえます。ここ最近の引け間際、14時から上げる構図は裁定取引とみられますが、それにしても配当権利とりとしても随分と奇妙です。はっきりしたことは分かりませんが、FRBがドル高牽制を強めてきたため、今後は円高の為替差益が狙える、と考えているのかもしれません。
ギリシャも近々改革案を提示と表明し、露国のルーブル安も一服するなど、世界はふたたび楽観に傾き過ぎている状況が再現されているのは間違いありません。ただ米債券運用の大手PIMCOが、今年の米成長率見通しを若干引き下げているように、世界は必ずしも好環境ばかりではありません。欧州が量的緩和で、景気が持ち直すとの予想をOECDがだしていますが、日本が黒田バズーカを撃ち続けても成長が限定されているように、金融緩和だけでは景気がよくなりません。
しかももう世界はバブル的症状であり、そのピークはすでに越えつつあります。残念ながら次の危機は中国をはじめとするアジアから起こる、と予想しますが、問題はいつ起こるか? 年内はもつのか? それが焦点だろうとみています。これは日本とて対岸の火事ではなく、14年のマイナス成長を今年も続けるなら、日本売りが始まってしまう可能性は十分にあります。
デフレ脱却は成長率とは関連性が薄い、とは昨日も指摘しましたが、目に見えて物価が下がってきた様子もうかがえます。2月百貨店売上げは好調でも、コンビには低調を続け、恐らくはスーパー等も同様でしょう。ほぼ丸1年、小売関連が1〜2%程度の前年割れをしてきたツケで、小売も耐え切れなくなっているのでしょう。そしてそれは製造業への値下げ圧力となって効いてくるはずです。デフレマインドの復活というより、インフレマインド自体が働かない。賃金が先に上がらない、今回のコストプッシュインフレの終焉が見えてきているのでしょう。
問題は、日本に次の経済政策がない点です。安倍ノミクスは失敗しました。デフレ脱却も成長には寄与しない。これまでも公共工事を拡大させた結果、人手不足で逆効果。他業種まで人件費高騰に喘ぐ始末です。では安倍政権に他の手があるか? といえば残念ながら皆無なのです。日本に訪れる問題、それはフルスロットルをつづけた挙句、エンジンが焼きつきそうになり、スローダウンを余儀なくされる点なのでしょう。今後、バブルの逆回転の起こる時期をある程度読んでおかないと、市場からとんでもないしっぺ返しを喰らうことになるのでしょう。そのとき年金、金融機関の自己売買まで、株式を買ってしまっただけに、日本全体が貧乏になってしまうかもしれません。戦後70年、ある秘数では国の反映は63年周期、という話もあります。戦後の終わりが、ふたたび貧困国から出直すために安倍政権があるのなら、三代続いて矮小となり、力も知恵もない政治家の誕生までも、象徴的と言えるのかもしれませんね。