【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領(62)が1週間以上にわたって報道陣の前に現れず、動向をめぐり臆測を呼んでいる。クレムリン(大統領府)は大統領の動静を毎日発表しているが、一部に日付を変えた「偽造」の疑いも浮上。ロシアによるウクライナ南部クリミア半島編入から1年の記念行事を18日に控え、「重病説」すら飛び交い始めた。
大統領府は13日、プーチン大統領が16日にサンクトペテルブルクでキルギスのアタムバエフ大統領と会談すると発表。13日にモスクワ郊外の公邸でレベジェフ最高裁長官と面会したとされる映像も公開した。疑惑否定に躍起だが、大統領の顔は少し疲れて見え、国民の疑心暗鬼は続きそうだ。
◇写真は事前撮影
プーチン大統領が最後に報道陣の前に姿を見せたのは、モスクワでイタリアのレンツィ首相と会談した5日。この時は共同で記者向けのコメントを読み上げただけで、質疑応答はなかった。
6日の安全保障会議や財務、国防相らとの会議は報道陣に非公開。国際女性デーの8日には、各界で活躍する人々の母親をクレムリンに招待したと発表されたが、写真や映像は前日に専属カメラマンが撮影したものだった。「大統領は疲れた様子だった」(参加者)との証言もある。
異変が表面化したのは、ロイター通信が11日、大統領のカザフスタン訪問(12〜13日)が「体調不良」(カザフ政府筋)のため延期されたと伝えた前後だ。10日には北極圏ヤマロ・ネネツ自治管区の知事と面会したと発表されたが、知事はこの日、クレムリンに来ていないとの情報がある。11日に公表された北西部カレリア共和国の首長との面会写真も、実は4日の撮影と報じられた。
◇報道官は「元気」と強調
ペスコフ大統領報道官は、大統領がこれら地方首長と発表日通りに会っていると主張し、架空の動静ではないかとの疑惑を否定。ウクライナ危機や経済危機で執務が立て込んでいると説明するとともに、「春になると(メディアは)色めき立つ」と異変説を切り捨てた。
実際、大統領令や人事発令は絶え間なく出ている。ただ、これまで毎日のように国営メディアに登場して自らの政策とタフガイぶりをアピールしてきたプーチン大統領だけに、姿を現さないのは異例のことだ。
英BBC放送によると、クレムリンの「番記者」ですら、先週からプーチン大統領の姿を見ていないという。ペスコフ報道官は「大統領は元気」との一点張りだが、仮にクリミア編入1年の記念行事への参加を見送れば、「異常事態」との見方がさらに強まるのは必至。早い段階で報道陣や国民の目の前に登場するかに関心が集まっている。
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