きちんと確認せず事実と違う数値を書いてしまいました。
反省とともにお詫びし、訂正させていただきます。
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(誤)「設定されていた巡航速度が低速(450Kmほど)であった」
(正)「設定されていた巡航速度は低速の293ノット(543Km/h=高度1万メートルでマッハ0.5)であった」
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ちなみに、ターボプロップエンジンのプロペラ機YS11の巡航速度は470〜480Kmで、零戦の最高速度は530〜570Kmです。
(補足)
ボーイング777の巡航速度はマッハ0.84(高度1万メートルではおよそ時速907Km)ですから、朝6時(マレーシア時刻)過ぎを到着時刻としてクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空MH17便は、スピードを大きく抑えて飛行していたことがわかります。(到着後の移動や乗り換えなどを考慮して、朝3時とか5時といった時刻を避けたと思われる)
離陸して巡航水平飛行に達するまでかかる時間はともかくとして、対空速度543Km/h(追い風を時速107Kmと推定して対地速度650Km/h)であれば、MH17便は、アムステルダムからウクライナ東部の撃墜場所まで4時間ほどかかることになります。
アムステルダムからウクライナ東部の撃墜現場まで、大圏最短距離でおよそ約2400Km(実際の飛行距離は2700Kmほどと推定)です。
このことから、アムステルダムをGMT10:15頃離陸したMH17便がウクライナ東部で撃墜された時刻は、マレーシア航空が発表した(今でも変更していない)GMT14:15頃が正しく、ウクライナ当局が発表した(ダイナモ氏も主張している)GMT13:15頃は、“ウソ”ないし誤りだと言えます。(3時間ほどで飛来したことになり、800Km/h超の対地速度が必要)
ウクライナ当局がそのような“ウソ”をついたのは、他の出来事に関する親露勢力間の交信をMH17便撃墜と結びつけ、MH17便がロシア側によって撃墜されたと宣伝するための細工だと思っています。
オランダ安全委員会のMH17便墜落事故「予備調査報告書」は、ウクライナ当局が発表した撃墜時刻GMT13:15との整合性をつけるため、MH17便の巡航速度が対空速度293ノット(約543Km/h)に設定されていたにもかかわらず、対地速度は494ノット(約915Km)で飛行していたとするデタラメな推定を公表しています。
「The data on Flight Data Recorder indicated that the aircraft was flying at FL330, on a constant displayed heading of 115°and a constant speed of 293 kts computed airspeed (groundspeed 494 kts, equals 915 kilometres per hour)」.
対地速度494ノットという推定は、ジェット気流を核とした追い風を201ノット=372Km(秒速103m)も受けていたことを意味しますが、北緯40度から50度あたりを飛行していたMH17便のケースでは、気流は速くて100Km/hほどなので、対地速度については、速めの平均として643Km/hほどと推定するのが妥当と思われます。
※ 北緯60度あたりのジェット気流の流速は、夏季で秒速20〜30m(時速72Km〜108Km)くらい、冬季で秒速50m(時速180Kmほど)くらいと言われていますから、7月に飛行していたMH17便の対地速度が、対空速度より372Km/hも速かったとは考えられない。
対地速度643Km/hも、ジェット気流を真後ろから受けているという想定ですから、実際は斜め後方や真横に近い方向から受けることも多いため平均としてはもっと遅くなります。(MH17便は、115度の方角で飛んでいたとされるので、ジェット気流を真後ろからは受けている時間は短いと推定できる)
とにかく、対空速度543Kmに設定されていたMH17便が、7月のあの空域で平均的に対地速度915Kmで飛行したということはまずないはずです。
なお、ロシア当局がGMT14:15説とGMT13:15説を“併用”的に流布したことで、撃墜の構図はよりわかりにくいものになっています。