田原総一朗:またぞろ「政治とカネ」問題、企業・団体献金は禁止せよ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150305-00000000-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 3月5日(木)0時0分配信
国会で「政治とカネ」の問題が取り沙汰されている。国の補助金交付が決まった企業側からの政治献金疑惑が与野党を問わず次から次へと指摘されているのだ。
■自民党6人、民主党5人など与野党で14人、読売新聞調べ
この問題で読売新聞は独自の調査を行い、補助金企業からの寄付を受けて国会で追及されている閣僚のほかに、与野党の国会議員が幅広く寄付を受けていたことがわかったと報じている(3月3日付朝刊)。
読売新聞の調査は、「国土交通、農林水産、経済産業、文部科学、総務の各省ホームページから、補助金の交付を受けた企業を抽出。これを政治家の関連政治団体の政治資金収支報告書と突き合わせ、政治資金規正法で禁じられた補助金交付決定から1年以内の寄付を受けていたかどうかを調べた」という。
その結果、少なくとも与野党14人の政治家が、それぞれが代表を務める政党支部で寄付を受けていたことが判明した。
自民党では安倍晋三首相をはじめ高村正彦副総裁、大島理森衆院予算委員長、甘利明経済再生相、林芳正農林水産相、石原伸晃元環境相の6人。民主党では岡田克也代表をはじめ玉木雄一郎氏、福山哲郎幹事長代理、岸本周平氏、武正公一氏の5人。維新の党では片山虎之介総務会長、柿沢未途政務調査会長の2人、そして「生活の党と山本太郎となかまたち」の小沢一郎共同代表である。
調べれば調べるほど、さらに多くの議員の名が出てくるのではないか。
■補助金企業だとは「知らなかった」
政治資金規正法は、「寄付の質的制限」について次のように定めている。挿入文が多くて読みにくいので、それを省いて引用する。
第二十二条の三 国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。 そして、条文には「規定に違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならない」と書かれているため、政治家が補助金交付を企業が受けていることを知らなければ、違法性は認められないのである。
そのためか、献金疑惑を報じられた政治家たちは皆、寄付をした企業が補助金を受けていたとは「知らなかった」と答えている。
だが、こうした寄付を受けていた議員が次から次へと出てくると、国民は「政治とカネ」の問題について、「政治家という人たちは汚い。政治家は誰でも、いかがわしさを持っている」と感じてしまうだろう。
■企業・団体献金は止め、個人献金に切り替えるべき
政党助成制度というものがある。国が政党に対して政党交付金を助成することにより、政党の政治活動が健全に、公正に行われるようにするための制度だ。
政党交付金の総額は国勢調査の人口に250円を乗じて得た額を基準に決められている。最近の総額は約320億円である。これを各政党に所属する国会議員の数と前回総選挙や前回参院選挙の得票数をもとに割り振られ、要件を満たす政党に交付している(制度に反対する共産党は受け取っていない)。
いうまでもなく、政党交付金は国民の税金で賄われているのだ。
私はこう考える。こうした政党助成制度があるのだから、各政党は企業・団体からの寄付は一切受けるべきではない。企業・団体からの寄付を禁止し、たとえば米国のように個人献金が受けられるようにすればよい。個人献金に切り替えることはそれほど難しいことではないだろう。
■献金する企業・団体は何らかの見返りを期待していないか
そもそも、企業や団体が特定の政治家に寄付をするのは、その企業や団体が政治家に何らかの見返りを期待しているからではないか。もし政治家が何もしなければ、それはそれで“裏切り”ともとれる。
そうした関係を断ち切るために、個人献金に切り替えるべきなのだ。
「政治とは、やっぱりうさん臭い世界だ。いかがわしいことばかりやっているではないか」。そう国民の目に映るようであれば、国民の政治に対する不信感は強まる一方だろう。企業・団体献金の禁止を論議すべきである。