憎しみのキリスト教徒参戦…欧米から義勇兵続々
2015.2.18
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に欧米などから多数の若者が戦闘員として流れ込む一方、イスラム国と戦うために組織されたキリスト教徒の民兵組織にも少なくない欧米人が参加している実態が明らかになった。ロイター通信などが17日までに、メンバーとのインタビューを相次いで伝えた。元米陸軍兵士という男性は「残忍な敵と信仰のために戦っている」と語り、オーストラリアの男性は「(イスラム国は)野蛮で許せない」と、敵意をあらわにする。最前線は、憎しみが増幅する危険な“宗教戦争”の様相を呈しつつある。
「信仰のために戦っている」
報道によると、“義勇兵”として欧米人のキリスト教徒が参加しているのは、イラク北部ニナワ州で結成された民兵組織「Dwekh Nawsha(ドゥエイフ・ナウシャ)」。組織名はイラクの先住民族であるアッシリア人のキリスト教徒が今も使う古代アラム語で「自己犠牲」を意味する言葉だ。
2006年にイラク戦争に派遣されたという元米陸軍兵のブレット氏(28)は、ロイター通信のインタビューに「(イラク戦争当時とは)全く違う。ここでは人々のため、信仰のために戦っている。そして敵ははるかに大きく残忍だ」と語った。ブレット氏は敬虔(けいけん)なキリスト教徒をアピールするため、背中に大天使聖ミカエルのタトゥーを入れ、イラク派兵時から大切にしているポケットサイズの聖書を肌身離さず持っているという。
クルド部隊の女性に感銘
組織で唯一の外国人女性は、自らと家族に危険が及ばないよう、目出し帽で顔を覆って野球帽をかぶった姿でインタビューを受けた。彼女はイスラム国と戦うクルド人部隊に多くの女性が参加していることに感銘を受けたとした上で、「キリスト教の民兵組織の伝統的『価値観』により感銘した。多くの紛争の根本はイスラム過激派にある」と主張した。
公共のオーストラリア放送協会(ABC)も、自国から同じ民兵組織に参加したカミス・ジェワジス・カミス氏のインタビューを伝えた。カミス氏は、メルボルンに妻と子供2人を残し、イスラム国の支配下にあるイラク第2の都市モスルから、約30キロ離れたバコファという街に駐留しているという。
「援助の必要性をアピール」
取材に対し、「やつらは野蛮な連中だ。信じるもののために死ぬことだけを目的にしている。(私の)家族や子供を巻き込むテロを起こすことも想像できる」と憤慨。「国際社会の援助の必要性をアピールするために参加した」と語り、欧米各国政府がイスラム国との戦いに及び腰であることに不満を示した。
モスルでは、キリスト教徒がイスラム教への改宗を迫られ、拒否すると処刑されるため、多くが街を捨て難民となるなど迫害を受けているとされる。民兵組織は、イラク内のキリスト教徒居住区を守るため、イスラム国との地上戦で大きな成果を挙げているクルド人の治安部隊「ペシュメルガ」と共同戦線を張っているという。
イスラム国は、リビアで拘束したキリスト教の一派、コプト教徒のエジプト人21人を殺害したとする映像を15日に公開するなど、宗教対立をあおっている。これに対し、エジプトはリビアへの空爆を行い報復に出た。
「誰もが必ず死ぬ」。戦闘で命を落とす危険性について問われた元米陸軍兵士のブレット氏は、こう答えた。その思想は自爆テロを行う過激派と変わらないようにみえる。国際社会は憎しみの増幅による暴力の連鎖を早急に止める必要がある。(SANKEI EXPRESS)
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