悲しみこらえて、「感謝」と「謝罪」... 後藤さん兄&湯川さん父は「立派」と称賛の声
http://www.j-cast.com/2015/02/03226979.html?p=all
2015/2/ 3 19:16 J-CASTニュース
過激派組織「イスラム国」が公開した湯川遥菜さんと後藤健二さんの「殺害動画」は、無事帰ってくることを願っていた家族に深い悲しみをもたらした。
公開から間もない中、後藤さんの兄・純一さんはNHKの取材に応じて現在の心境などを語っていた。
■冒頭から関係者に感謝の意
健二さんを殺害したとする動画が公開されたのは、日本時間2015年2月1日早朝のこと。「イスラム国」が設定した人質交換の期限から2日以上経った頃だった。「肉親」の変わり果てた姿を目にした直後でもあり、純一さんの悲しみは計り知れない。そうした中で、NHKの取材に、純一さんは冒頭から感謝の言葉を口にしたのだ。
「今まで色々なことをして下さった日本国政府の皆さん、外務省の方々、それから日本中の皆さん、世界中の方々が応援してくださったことは非常にありがたいと思っております」
その上で「結果がこういうことになりまして、兄としては非常に残念に思っております。健二が生きて帰ってきて、皆さんに感謝とお礼ができることを願っていましたけれども、それが叶わないようなことになってしまったこと、非常に残念に思っています」と悔やんだ。
また、健二さんのこれまでの仕事については「誇りに思います」としたものの、「兄としては今回のことは軽率な行動だったと思います」とも指摘。取材中には「もしかしたら帰ってくるかなと思いました。でも結果的にこういうことになって、何といったらいいのかな......ごめんなさい、ちょっと、言葉が出ないのですが...」と言葉に詰まることもあったが、取り乱すことはなく、ゆっくりと言葉を紡いでいった。
多方面への配慮が感じられる純一さんのコメントは、「短く抑制されたコメントに涙を禁じ得ない」「『ごめんなさい』も『ありがとう』も肉親が殺されて悲しみに打ちひしがれてる時にはなかなか出てこない言葉だと思うなあ」などという感想とともにインターネット上で広く拡散された。
■BBC「まさしく『日本人らしさ』なのだ」
2月1日には英公共放送「BBC」も純一さんのコメント内容を紹介した。「健二さん本人の話からではなく、最初に日本政府、彼を支えた日本や世界の人々に対して感謝の意を表した」と指摘した上で、
「彼の言葉は、日本人がこのような状況に置かれた家族について立派で品位があると感じる対応そのものだった」
と分析した。
一連の事件を巡っては、健二さんの母である石堂順子さんが当初からメディア取材に応じ、自らの希望で会見を開くなどして注目を集めた。だが会見では、健二さんの解放を望むと同時に、原子力の問題に言及していたことなどから戸惑う街の声も出ていた。
純一さんと同様に称賛の声を集めているのが、湯川さんの父、正一さんだ。1月24日深夜、「イスラム国」が湯川さんの殺害を示す画像を公開したことを受け、25日に取材に応じた。正一さんは「みなさまにはご心配、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と謝罪し、政府や関係者の尽力に「深く感謝します」と述べた。健二さんについても気遣う言葉を重ね、遥菜さんについては「再会できれば思い切り抱きしめてやりたいなと思っております」などと語っていた。
正一さんのコメント内容は韓国の聯合ニュースでも伝えられ、韓国人からは「冷静な対応。親としてはなかなかこうした行動はとれない」「まさにこれが(日本の)国民性。韓国人だったら国や政府を責めているでしょう」といった声が数多く寄せられることとなった。