胡錦濤前主席の秘書2人 1人は身柄拘束、1人は大臣級に出世
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150201-00000003-pseven-cn
NEWS ポストセブン 2月1日(日)7時6分配信
胡錦濤・前国家主席の秘書だった中国共産党幹部2人の人生の明暗がくっきりと分かれている。「暗」は令計画・元党統一戦線部長で、昨年末、「重大な党規律違反の疑い」で身柄を拘束され、逮捕されるのは確実だ。「明」は陳世炬氏で、胡錦濤弁公室(事務所)の筆頭秘書を務めていたが、最近、党中央文明弁公室副主任に抜擢され大臣級の役職に就いた、と国営通信社新華社電が報じている。
まず、令氏といえば、1983年当時、共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)の最高幹部だった胡氏の秘書に抜擢されて以来、共青団や党中枢の党中央弁公庁で重職を歴任。胡氏が政治局常務委員に登用されると再び秘書を務め、日本の官房長官ともいえる党中央弁公庁主任として、ほぼ10年間も胡錦濤政権を支えてきた大幹部。李首相や汪洋・副首相、李源潮・国家副主席と並んで、まさに共青団の顔ともいえる重要人物である。
ところが、長男・令谷氏が600万元(約1億2000万円)は下らないとされるフェラーリを運転中、自動車事故で死亡。しかも、同乗していた女性2人が全裸状態だった。そのため、令計画氏は司法当局に手を回して、事実のもみ消しを図ったが、後に発覚し、2012年8月、党中央弁公庁主任から格下の党統一戦線部長に降格され、昨年末に身柄を拘束、当局の取り調べを受けている。
しかも、この一連の疑惑に絡んで、令氏の妻やきょうだい3人のほか、親族もあらかた逮捕されており、いまやかつての栄華の面影はない。
一方の陳氏は令氏とは対照的で、真面目一方で愚直に秘書道に邁進、「胡氏の懐刀」ともいわれた切れ者だ。陳氏は胡錦濤氏が2013年3月に引退すると、胡錦濤事務所主任の職を解かれ、党中央弁公庁副主任という新たなポストに就いた。
この役職は党中央委員会の事務手続きのほか、重要会議の裏方、党総書記である習近平主席のスピーチライターなどの仕事を一手に引き受ける重要ポストだ。
この人事異動で、陳氏の上司に当たる党中央弁公庁主任は栗戦書氏で、習主席と極めて密接な関係を保ち、習近平グループの大番頭役を担っている。
ところで、栗氏は常に習主席と行動をともにしていることから、党中央委員会の通常業務は副主任の陳氏が差配することになる。
胡氏と習主席は昨年秋の党大会の指導部人事をめぐって、激しい権力闘争を展開したことで知られるが、「その胡氏の筆頭秘書を習近平政権の重職に登用したことは、習氏が陳氏の能力の高さを買っているからにほかならない」と北京の外交筋は指摘する。
その陳氏は1月初旬、大臣級の党中央文明弁公室副主任に就任しており、2人の秘書の明暗がくっきりと分かれている。これについて、中国問題に詳しく、『習近平の正体』(小学館刊)の著書もある相馬勝氏は「習近平グループが対立する共青団閥の分裂を狙って、胡錦濤氏の腹心中の腹心である陳氏を抜擢。出世したければ、陳氏のように、習グループに忠誠を誓えとのサインだとみてとれよう」と分析する。