沖縄知事選では反対派の翁長氏が勝利/(C)日刊ゲンダイ
原発、沖縄基地、拉致、中韓…加速する安倍政権タカ派路線
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2015年1月2日 日刊ゲンダイ
2014年末のペテン選挙ではまんまと国民をだました安倍政権だが、15年は年明け早々、危うい選挙がある。
玄海原発再稼働が争点になっている佐賀県知事選(1月11日投開票)だ。官邸のゴリ押しで、出馬予定だった財務官僚をひっこめ、自民党は武雄市長だった樋渡啓祐氏(45)を推薦するが、そこに元総務官僚の山口祥義氏(49)が無所属で殴り込み、保守分裂選挙になった。
その結果、原発再稼働に反対する島谷幸宏九大大学院教授(59)と大接戦になりそうなのだ。
「安倍官邸は15年を原発再稼働の年と位置付けていて、春には鹿児島県の川内原発を再稼働するとみられている。その次が福井の高浜原発、四国の伊方原発と続くのでしょうが、書類上、地元の了解が得られているのは川内原発だけです。佐賀県知事選で負けたり、接戦になれば、反原発の火が統一地方選に向けて燃え広がっていく。安倍政権が強行すれば、世論の大反発を招きますよ」(ジャーナリスト・横田一氏)
■内政弱体で「国防強化」の目くらまし
同じように正念場なのが沖縄の基地問題だ。14年秋の県知事選では辺野古移転反対派の翁長雄志氏が勝った。その余勢で衆院選も移転反対派が全選挙区で自民系候補を蹴散らした。それでも安倍政権が基地移転を進めれば、それこそ、血の雨が降る。
「米国内にも日本専門家を中心に辺野古移転慎重派が出てきているし、翁長知事はワシントンに事務所を開き、常駐の職員を置いて、基地反対の声を議会に訴えていく方針です。オリバー・ストーン監督が呼びかけている反対の署名も相当数が集まっているし、安倍官邸は動けないと思いますよ。実力行使に出れば、反対住民と激突し、死者が出る恐れもあります」(ジャーナリスト・高野孟氏)
こうしてみていくと、衆院の数とは裏腹に安倍首相には難題山積なのである。
おそらく、北朝鮮の拉致問題は何の成果も出せずに期限を迎えるだろうし、戦後70年ということで、中国各地では抗日勝利70周年のセレモニーが催される。中韓関係はますます冷え込んでいくだろう。
となると安倍首相がやることはひとつだ。危機を煽り、国内の批判を外に向けさせる「目くらまし」である。「国防強化」を打ち出し、タカ派の旗をますます振る。TPP参加やガイドライン見直しで米国には譲歩し、同時に安保法制を見直し、改憲への布石を打っていく。
内政・外交の行き詰まりが、タカ派の軍事路線を加速化させることになるのである。