◇炊き出し不可能 公衆トイレも使えず
東京都渋谷区が、宮下公園(渋谷区神宮前)など渋谷駅周辺の区立公園3カ所を26日から来年の1月3日まで終日閉鎖している。ホームレスやその支援団体が公園内での炊き出しや宿泊などで使用しないよう区側が先手を打った格好だが、支援団体側は強く反発している。
終日閉鎖されるのは宮下公園と神宮通公園(渋谷区神宮前)と美竹公園(渋谷区渋谷)。いずれも通常、深夜・早朝は閉鎖しているが、終日閉鎖は昨年末以来(神宮通公園は初)となる。約10年前から渋谷駅周辺で寝泊まりしている男性(57)は、「身の回りの荷物の置き場所がなくなってしまった」と困惑する。神宮前と美竹は園内の公衆トイレも使えなくなるため、渋谷区は「近くの公衆トイレを案内する文書を公園入り口に掲示した」としている。
公共性の高い区立公園を年末年始に終日閉鎖した理由について、区緑と水・公園課は「以前から支援団体に対し、炊き出しや大型テントの設営など安全性に問題がある行為をやめるよう求めていたが、受け入れられなかったため」と説明する。ホームレスの増加などに伴う風紀や治安の乱れを懸念する周辺住民の声も考慮した模様だ。
ホームレスなど社会的弱者への支援を手がける認定NPO法人もやい(東京都)の大西連理事長は「本来は公的機関が提供すべきセーフティーネットを民間が担っている側面もある。公共空間での煮炊きは法令上『グレーゾーン』とも言えるが、一般市民の立ち入りも禁じた渋谷区の強硬な対応には突出感を禁じ得ない」と苦言を呈す。都市公園などを所管する国土交通省公園緑地・景観課は「そうした例は聞いたことがないが、各自治体の判断に国として言うことはない」としている。
宮下公園などでホームレスを支援してきた団体のメンバーは「貧困で行くところがない人々を追い出すのは人権無視」と区を批判、支援活動が円滑にできるよう公園の開放を求めている。【太田圭介】
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