来年の政治情勢について
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2014年12月27日 在野のアナリスト
来年の政治情勢について、少し考えてみます。総選挙で大勝? し、安倍政権が安泰のようにみえますが、世論調査の結果はかなりシビアです。解散発表前の数字を辛うじて上回る調査もありますが、改造後の数値には遠く及ばず、読売などは選挙前から微減でした。しかも大勝の理由として、国民は『野党がだらしないから』を9割近く挙げており、決して安倍政権にフリーハンドを与えたわけではない。政権基盤は磐石どころか、極めて脆弱化してしまいました。
これで魅力的な野党が誕生すれば、それこそ内閣支持率は低迷し、風は一気に吹き荒れるでしょう。かといって、民主の代表選でそれが為されるとは思えず、脆弱なのに安定という、極めて奇妙な状況となります。これまでは政高党低、冬型の気圧配置のようなことを言われましたが、これからは爆弾低気圧のように、日本列島に何本もの等圧線が走り、暴風が吹き荒れるような、そんな気圧配置になることも予想されます。ただし、それはあくまで魅力的な野党が誕生すれば、という条件つきです。今のところ、その確率は低いので現実味はありませんが、その可能性を探る上では、組み合わせについて考えるのが最適だと考えます。
総選挙でも1議席減だった維新。橋下氏が国政に出れば…という党内の声もありますが、実はこの追い上げは江田氏への期待票だったとみています。言葉は悪いですが、行政経験のない、手垢のついていない代表は、江田氏ぐらいのものです。自民は嫌、民主はもっと嫌、橋下氏の大阪市での振舞いは嫌悪感がある。共産党が票を伸ばしたように、無党派層にとって、行政手腕のわからない相手にしか、期待がもてない今、最後の最後で維新が浮上した。それは橋下氏が、国政進出を表明しなかったことから、土壇場でそう考えた人が多かったものとみられます。
かといって江田氏がトップに立つ、もしくは江田氏を中心に、というのではありません。だからこそ組み合わせが必要となります。民主のもつ基礎票900万は魅力ですが、実は連合内部もかなりがたがたしており、特に円安で利益の上がる自動車、電機などの労連は今回の選挙もかなり慎重だった、と伝わります。ただ中京で行った安倍首相の演説で、一気に形勢が逆転、民主支持に傾いたとされます。自分の力で経済が復活、と語った安倍政権への反発がそこにはありました。つまり積極的な民主支持でなくとも、反安倍では連合がまとまる可能性は残されます。
そこで民主の代表選ですが、恐らく現状では岡田氏有利ですすむのでしょう。ただその結果が重要ではありません。個人的には、その後の分裂の流れが重要なのだと考えます。つまり国民の反民主の意識は強く、覆しようもないため、今後も浮動票のとりこみには苦労します。そこで、それこそ閣僚経験のない人物らが、民主党をとびだして新党をつくる。そこに弱いながら連合の支持をとりつける。今の民主なら、政治家個人が動けば、そこに票、支持団体もくっついてきますから、そうして基礎票を固める。その上で維新の江田氏と連携し、あわよくば合併し、清新さを売りにして浮動票のとりこみを図る。これで政局がかなり面白くなるはずです。
恐らく、岡田氏が代表につけば、古臭い党という印象が強まるでしょう。安定感はでても、それこそ浮動票のとりこみはできませんし、民主党のイメージは変えられません。そこから飛びだす勢力、それは党を半分に割るぐらいで、政党交付金の一部をとれるぐらいの勢いで分裂すれば、きっと政局は大きく転換します。今の日本は、梅雨前線、秋雨前線のようにじめじめ、むしむしとした嫌な天候がつづき、国民は居心地の悪さを感じているところです。何となく嫌だけど、受け入れざるを得ない。そんな空気を吹き飛ばしてくれる何かは、だらしない野党でも、たらしこむ与党でもなく、まったく新しい何かを作るしか、今は手がないのでしょうね。