何も進まない放射性廃棄物の処理、宮城県、最終処分場に強硬反対/国の対応 不信感増幅(12/20 河北新報)
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Sunday, December 21, 2014 東京江戸川放射線
福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設に向け、環境省が県内3候補地でボーリング調査の準備を開始した10月24日。その一つ、加美町田代岳に向かうと、住民が道路に座り込み、抗議活動を始めていた。
環境省は1月、田代岳と栗原市深山嶽、大和町下原地区の3カ所を候補地に選んだ。中でも、最も激しい反対運動が展開されたのが加美町だった。住民による体を張った阻止行動は、風評被害への不安の大きさと国に対する不信感の表れだ。
田代岳はダムの上にあり、雨水が注ぎ込む「水源そのもの」(猪股洋文町長)。農業用水として使われ、農家が不安を募らせるのも当然なのだが、国は理解していない。
猪股町長と小里泰弘環境副大臣は9月、町役場で会談した。風評被害の懸念を伝えた町長に、小里氏は「大丈夫。私も加美町のお米を食べます」と答えたという。その程度の認識かとあきれた。
国のちぐはぐな対応も不信を招いた。象徴的なのは、詳細調査をめぐる国の認識の揺れだ。加美町は「選定過程に誤りがあり、候補地になり得ない」と調査を拒否。栗原、大和両市町は「調査によって建設に適さないと証明する」(佐藤勇栗原市長)と容認。思惑がせめぎ合う中、8月の県内市町村長会議で調査受け入れが協議された。
石原伸晃環境相(当時)は「調査は建設を意味するものではなく、不適地となれば造らない」と述べ、結果次第では3候補地全てが不適地になることを示唆。会議は受け入れ容認の流れになった。
ところが、10月の参院予算委員会で小里副大臣は「調査し、3候補地の中から最終1カ所を示す」と答弁した。石原氏の認識とは食い違う。まさに「その場しのぎ」としか受け取れなかった。
加美町は、廃棄物の各県処理を定めた放射性物質汚染対処特措法の見直しを国に求めている。栗原市議会も今月、同様の意見書を可決した。
国の言う通り、県内で処理するのが適切か。1カ所に集めて燃やし、高濃度化した灰を埋め立てるしか手だてはないのか。取材を重ねるにつれ、疑問は大きくなった。
調査容認の栗原市、大和町も建設には反対だ。加美と同様の反対運動は起こり得る。国は「住民同意を得て進める」と言うが、同意を得られるはずもなく、先に進むとは到底思えない。調査再開とみられる雪解けまで半年ある。国は立ち止まって考え直す時期に来ている。(加美支局・馬場崇)
<メモ>
[指定廃棄物最終処分場建設問題]福島第1原発事故で生じた、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える指定廃棄物について、国は発生した各都県単位での処理を基本方針とする。発生量が多い宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の5県には、国が最終処分場を設ける。県内ではことし1月に3候補地を選定。詳細調査の結果を踏まえ、最終候補地を絞り込む。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141220_13027.html