20141220 R/F #102「小出裕章ジャーナル」【増え続ける放射性廃棄物をどうするのか?】
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増え続ける放射性廃棄物をどうするのか?「放射能を消すことができないわけですから、とにかく閉じ込めるということをやるしかないわけです」〜第102回小出裕章ジャーナル
http://www.rafjp.org/koidejournal/no102/
2014年12月20日 ラジオフォーラム
石井彰:
今月は、「福島原発の今」と題して特集でお送りしてるんですが、今日は、増え続ける放射性廃棄物について小出さんにお伺いしたいんですが。
小出さん:
はい。
石井:
東京電力福島第一原発の大事故によって、大変大量の放射能がまかれてしまった。広がってしまった。様々なものが放射能によって汚されてしまったというか、放射能がくっ付いてしまったわけですよね?
小出さん:
はい。
石井:
これ、例えばがれきならがれきと放射能というのを分離するということはできないんでしょうか?
小出さん:
例えば、がれきの焼却ということをこれまでもやってきましたし、多分これからもやると思いますけれども、がれきと言うと、体積が膨大になってしまって、その膨大なものをそのまま管理し続けるということは大変難しいということで、それを焼却して、焼却灰というコンパクトな形の中に放射性物質を濃縮して、それを管理しようということが基本的な方針になっているわけです。
放射性物質を消すことはできませんけれども、できる限りコンパクトにするということは、やはりこれから管理をしていく上で必要だろうと私は思います。
石井:
なるほどね。それからもうひとつ、よく低レベル廃棄物というような言い方をしますよね?
小出さん:
はい。
石井:
この低レベルっていう風に聞くと、なんかそれだけで安全かのうように私達は受け止めてしまうんですが、そんなことはないですよね?
小出さん:
もちろんありません。日本に放射性廃棄物を分類する時には、「高レベル放射性廃棄物」という物と「低レベル放射性廃棄物」というものの2種類しかないのです。
高レベル放射性廃棄物と呼んできたものは、使用済み燃料、あるいはそれを再処理工場で処理して出てきたガラス固化体という、その2つだけです。それ以外のものは、全て低レベルという分類に入ってしまいまして、その中には猛烈な汚染物も含まれています。
石井:
例えば、福島原発の建屋が爆発して、そこに大量の放射能が付いている。それでもそれは、今の分類で言うと、低レベルになってしまうわけですか?
小出さん:
そうです。全てが低レベルになってしまいます。
石井:
そうだった。僕らやっぱり全然、根本的にわかってませんねえ。
小出さん:
はい。
石井:
そういう福島の放射能のいわばゴミですね。これの後始末はどういうふうにしようとしてるんでしょうか?
小出さん:
本当にやりたいとすれば、放射能を消したいわけですけれども、残念ながら、人類は放射能を消すという力を未だに持っていないのです。そのため、私も先程から石井さんに引っ張られて、「放射性廃棄物」というような言葉を使ってきましたが、実は私は、放射性廃棄物という言葉を使わないようにしているのです。
石井:
そうでしたね。失礼しました。
小出さん:
なぜかと言うと、消すことができない放射能を環境に捨ててはいけないので、私は「放射性廃物」と呼んできたのです。そして今、聞いて頂いたように、放射能を消すことができないわけですから、とにかく閉じ込めるということをやるしかないわけです。
ただし、原子力を使うことによって生み出してしまう放射性物質の中には、寿命の長いものもありますので、閉じ込めるといっても10万年、100万年閉じ込めておかなければいけないという、そういうものなのです。
残念ながら、福島第一原子力発電所の事故が起きて、大量の放射性物質を環境にまき散らしてしまったわけで、それを本当にこれからどうできるのか私もよく分からないという、そんな状態の前で立ちすくんでしまっているわけです。
石井:
小出さんにこういう質問をするのは大変酷なんですけども、大量の放射能廃物を今、国は中間貯蔵施設に集めて、「そこは永久じゃないよ」ということも法律で作って、なんとか中間貯蔵施設に持っていこうとしていますよね?
小出裕章: はい。
石井:
これも何か所かに分けてやろうとしている。
小出裕章: はい。
石井:
こういうやり方でいいんでしょうか?
小出さん:
私は決定的に間違えてると思います。今、中間貯蔵施設を作られようとしてるのは、大熊町と双葉町にまたがる地域。そこに、約16平方キロメートルぐらいの土地を、民有地を買い集める、あるいは、30年で返すというようなことを今、政府が言ってるわけで、地上権だけの設定というような案も出ていますけれども、いずれにしても民有地なのです。
被害を受けた人々の土地に、また放射能のゴミを押し付けようということを今の政府はやろうとしているわけで、私はやってはいけないと思います。
福島第一原子力発電所が環境にばらまいて、今環境を汚染している放射性物質は、もともとは東京電力の福島第一原子力発電所の原子炉の中にあったものです。れっきとした東京電力の所有物なわけですから、東京電力に返すというのがいいだろうと私は思います。
私が実際にできるだろうという案を持っているのですが、それは福島第二原子力発電所の敷地に放射能のゴミは全て集める。そこで、一括して管理をするというやり方が一番いいと思います。
当然、再稼働などやってはいけないわけですし、福島第二原子力発電所を放射能のゴミ捨て場にするというのが、私は論理としては一番いいいだろうと思います。
石井:
最後の質問になりますが、いわば「負の遺産」と言ったらいいでしょうか、マイナスの遺産を私達のずーっと何百世代、何千世代の子子孫孫に残してしまうわけですけれども。もう既に。これを残さないようにする方法はないですよね?
小出さん:
まずは、自分で始末のできないようなゴミを生んではいけないということなわけですから、これ以上、原子力発電などをやることを即刻止めるという選択が、まず必要だと思います。
でも、即刻止めたとしても、私達の世代ですでに広島原爆に換算すると、120万発とか130万発分もの放射性物質を作ってしまっている。できれば私としては、自分達が生み出した放射能を消したいと思っていますし、その研究も既に70年ほど続いています。
残念ながら、未だにその方策が見えていないのですけれども、私達の世代の責任として何としてもその方策を私は見つけたと思っています。
石井:
はい。ぜひ、小出さんの奮闘に期待したい部分と私達にできることは、「もうこれ以上廃物を作らせない、増やさないということだ」ということが改めて分かりました。トンチンカンな質問をしたかもしれませんが、またよろしくお願いします。
小出さん:
はい、よろしくお願いします。
石井:
ありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。