http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NG996P6TTDS101.html
12月11日(ブルームバーグ):英運用会社スプリングが世界で起こる「惨事」などを想定しながら、株式、債券の指数先物や通貨で運用するヘッジファンドが6月からの半年で約15%の収益を上げた。秋以降の原油価格下落を先読みし、エネルギー関連企業が多いカナダ、メキシコの株価指数を売り持ち(ショート)したことが奏功した。
スプリングの塚口直史氏が運用するのは「ラン・ディザスター・プロテクション・ファンド」。塚口氏はモスクワを拠点に投資情報などを収集し運用している。同氏はインタビューで「ロシアにはエネルギー会社が多く、当社のエネルギー専門アナリストや現地の人たちと関わってなければこの投資アイデアは生まれなかった」と語った。
同ファンドは金融政策、財政問題、内外紛争、自然災害など複数のテーマやストーリーを設定して分散投資する。イベントに関連する投資商品の売りや買いを組み合わせ3−4倍のレバレッジをかけ運用する。ベンチマークであるユーリカヘッジ・マクロ指数 (速報値)は過去半年でプラス3.6%だった。原油価格は10月に12%程度下落していた。
塚口氏は「年金基金など投資家の資産はほとんどがロング(買い持ち)だ」と指摘。世界での不測の事態を想定し、「当ファンドを組み入れてもらえれば、ヘッジツールとしての機能が果たせる可能性がある」と述べた。同ファンドの収益目標は年率20%程度。ファンドの運用収益が上下に振れるリスク(標準偏差)も20%程度としている。
ロシアに特化
同ファンドは欧州の機関投資家に加え、日本の富裕層などからの資金を取り込みながら規模を拡大していく方針。運用額は今後2−3年で100億円、5年以内に300億円に増やすことを目指している。塚口氏は、「運用をブラックボックス化せず、世界で起きていることを週次レポートで提供するなど投資に付加価値をつけたい」と述べた。
スプリングは2003年にデービッド・ヘルネ氏が設立した。モスクワ、ロンドン、東京、ケイマンに拠点を持つ。特にロシア関連の運用に力を入れており、企業統治(コーポレートガバナンス)に遅れと改善の余地があるとみて、投資先の企業価値向上を狙うファンドなども運用している。現在の全体の運用資産総額は約5億ドル(約600億円)。
塚口氏(40)は05年以降、米運用会社のブラックロックやスパークス・グループ、みずほ証券に在籍。各社で今回と同様のグローバルマクロ戦略のファンドを運用してきた。同氏は運用を手掛けたファンドの過去6年の平均年率リターンは20%程度だったと説明している。
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更新日時: 2014/12/11 11:01 JST
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