<福島第1原発>3号機の除染難航 燃料取り出し見通せず
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毎日新聞 12月7日(日)7時30分配信
東京電力福島第1原発3号機で、使用済み核燃料プールのある原子炉建屋最上階の除染が難航している。東電は来年度前半に燃料取り出しに着手する計画だが、除染開始から1年以上が経過しても大部分の場所で放射線量毎時1ミリシーベルトという目標値を達成できておらず、プールからの燃料取り出しの見通しが立たない状態だ。廃炉作業が一層遅れる懸念が高まっている。
福島第1原発事故では、1〜3号機で炉心溶融が起きた。3号機では、遠隔操作の重機を使うことによって最上階のがれき撤去が始まり、1、2号機に比べて作業が進んでいる。今後予定されている燃料の取り出しでは、遠隔操作クレーンの設置や、トラブルが起こった場合の修理のため、作業員が建屋最上階に立ち入る必要がある。
このため東電は、昨年10月から最上階の除染作業を開始。当初の線量は高い所で毎時100ミリシーベルトを超えていたため、除染後の線量の目標値を同1ミリシーベルトと決めた。しかし、遠隔操作ロボットを使って壁や床に高圧の水を吹きつけ、表面を削って吸引したものの、先月末に公表した線量は最大で毎時約60ミリシーベルトもあり、ほとんどの場所で目標値を達成できていなかった。
東電は、汚染が想定以上に床や壁に深く浸透していることが原因とみている。今後、鉄板を置いて放射線を遮り、それでも線量の高い場所は床面を削るなどの追加除染を実施する計画だが、東電は「作業員の安全のためには線量低減対策が不可欠。追加除染による工程への影響は分からない」と説明している。
政府と東電は、3号機の廃炉工程を来年3月に見直す方針だが、除染の状況によっては、工程が遅れる可能性がある。
3号機以外でも、1号機は放射性物質飛散防止対策のため、建屋最上階のがれき撤去を中断。燃料取り出し開始は当初の工程表から2年遅れて2019年度以降になることが既に決まった。また、2号機は放射線量が最も高く、建屋の除染作業の見通しが立たない。【斎藤有香】