共産党の総選挙政策について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52667834.html
2014年11月29日 在野のアナリスト
日本共産党の政権公約をみてみます。『安倍政権の暴走ストップ! 国民の声が生きる新しい政治を』がキャッチコピーで、中身もそれに沿います。ただ「対決、対案、共同」とし、共同が国民というだけで、他党との協調はない。独自性があっても、実現性はいつも首を傾げます。
消費税再増税は中止。代わりの財源として大企業の法人税の実質税率が14%とし、研究開発減税、連結納税制度、受取配当益金不算入、海外子会社益金不算入などで、中小企業の法人税25%より低いとします。法人税減税をやめ、大企業優遇制度を見直せば、20兆円が出せるとします。また富裕層への課税強化、引き下げられた所得税、住民税、相続税を元にもどし、株式配当には総合課税、株式譲渡益にも30%課税など、を掲げます。それでも足りない場合は、消費税ではなく所得税へ課税し、「能力に応じた負担」とします。大企業の内部留保の活用、とはしますが、民間である企業に口をだせるのか? ただ安倍政権で、すでに政労使会議において賃上げ要請するなど、政治が企業への要求をだせる方法は確立されているので、実現はできるかもしれません。
少し驚いたのが、共産が「名目で2%の経済成長」で、10年後に20兆円の税収増に言及した点です。しかしもっと驚くのが、成長戦略がない点です。雇用ルールの改善、社会保障の充実、TPP交渉からの撤退、復興・災害に強い街づくり、原発ゼロ、などの項目はあっても、どのやったら名目2%の成長を達成するか、その具体案がありません。法人税の調査には時間と紙面を割いているのですから、成長戦略も詳細があって然るべきですが、このままでは提案がない、とみなされます。
一方で行政改革は記載なし、憲法9条の改正に反対、政党助成金の廃止、が特色です。特に議員定数の削減に反対で、比例は「民意が正確に反映」する制度と、べた褒め状態ですが、これが共産の事情によることは一目瞭然。全選挙区に候補を立てながら、小選挙区の当選は微々たるもの、比例でほとんど当選します。党勢は維持したい、それが本音のようで、政治や行政に関しては現状通り、ということが全般にうかがえます。そこで最後に「日本共産党をのばせば、日本の政治は必ず変わります」と続けるので、違和感が生じてしまいます。伸びるだけでは何も変わらない、過半数を占めないと、何もできないのが共産党の弱点でもあるからです。
「主人公である国民の中に「社会を変えよう」という多数派が…」あって、社会の進歩は実現とします。しかし政治、行政の変革に力を尽くさないのでは、範を示すことにならないのでは? 草の根の活動をつづけてきた、ともしますが、草は一本一本生えるものであって、多数が寄り集まっても、木になるわけではありません。自民のような巨木に、一本一本の草が対抗しても、日が当たらずに枯れてしまうだけ。政党が集めた資金では、自民に次いで2位ではあるものの、議席数が伸びないのは、それだけまだ国民の多数を納得させられる提案がない、ということなのです。
砂漠に生える『奇想天外』という草は、最初に生えた二本の葉っぱだけで、1000年以上も生きる脅威の植物です。歴史を強調する共産も、今やその特異性だけで、存在を認められるのみで、さらに枝葉を広げるような進化は、この総選挙政策をみても見出せないのでしょう。奇想天外も、種はいっぱい飛ばしますが、それが砂漠に根付くのはほんの一握りです。共産党から、奇想天外な提案がでてくるようでないと、安倍政権への対抗軸というだけで投票する気にはなれないのでしょうね。