公明と次世代の政権公約について
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2014年11月27日 在野のアナリスト
公明の政権公約、自民の公約に目を通しておけば、読む必要がないほど似通っています。自民が箇条書き、公明が文章で説明しているので、読み易い方でよいと思います。違いは自民が1頁割いたインフラ整備が少ない、自民では最後に4行あった憲法の記載がない、程度です。政策面では、唯一軽減税率の導入を掲げますが『検討をすすめる』とだけで、日付を謳う割には実現性が不透明です。
しかも冒頭、政権交代後2年で経済再生、震災復興、社会保障の充実と語った後、すぐに日本経済の先行きに厳しさが…と、たった2年でジェットコースターのような経過を辿ったのか? と思わせる記述がら始まる。中身も、もうすでに実施しているものを『すすめる』『強化する』から、『対策を講じます』『推進します』など、政治が何をするか、一切の記載がない。中身は薄っぺらで、自民でも同様に5W1Hがないので、とり上げる必要すら感じないほどのものです。外交で、山口代表が中国の習主席とのツーショット写真を載せますが、山口氏が含み笑い、習氏が無表情、という安倍首相の日中首脳会談を再現しているようで、公明の歪みも深刻なようです。
次世代の党の政権公約、『次世代が希望をもてる日本を』を掲げますが、未来に関する提言はほとんどありません。安倍ノミクスは軌道修正として『次世代ミクス』としますが、そもそも論として英単語の切り方がおかしい。米国でレーガン大統領の時代の経済政策をレーガノミクスとされたのは、単に綴りでnを重ねたわけではないのです。しかも黒田バズーカ第2弾を『白紙撤回』とあるので、大混乱を引き起こしそうです。また『基軸通貨へのターゲットゾーン』とあり、中国ばりの為替操作を公約とします。また大規模投資のために日銀に200兆円の基金、とするのですが、まったく未来を壊す政策のオンパレード。成長戦略は四行程度のお飾りにすぎません。
財政責任法や、複式簿記で財政状況をチェックとしますが、これは自民と同じです。その程度で財政の『見える化』ができたら苦労はしません。道州ブロック単位で規制緩和、とするのも違和感があり、そもそも道州制に移行すれば、国は外交、防衛などの国家的部分にのみ権限をもつはずで、規制するかしないか、その辺りを道州に移さなければおかしな話なのです。
憲法改正や安全保障については、次世代の特徴でもあり、中身は同じなので割愛します。しかし他の項目も自民と同じものが多く、強いて挙げるなら少子化対策に『仏型の浮揚する子供が多いほど所得課税が少なくなる』制度を導入、というところでしょうか。しかしこれとて子供手当てとの違いを見出し難く、とるときに減らすか、給付するかの差だけですし、何より子供がいても世話をしていない家庭をどう見抜くのか? その対策に様々な問題を生じそうです。
特色としては『正しい国家間と歴史を持つ「賢く強い日本人」を育てる教育』というお題目です。中身はありませんが、独立自存、愛国心を掲げる点が、次世代を特徴づけているといえます。4頁程度の箇条書きですので、読みやすいのは利点ですが、それだけです。政権奪取より、安倍政権へと近い公約を掲げ、あわよくば与党との連携、という思惑しか窺えない。野心的な提案は少なく、逆に200兆円の基金など、返済時を考えれば『次世代が借金をかかえる日本』になりそうです。
公明、次世代ととり上げたのは、自民と政策が近いばかりでなく、財政責任法や教育バウチャーなど、運用次第では意味がない、もしくは逆効果でしかない項目を、永田町の流行のように載せてくることに関して、危惧をもつためです。他党が提案した、良さそうな内容にただ乗りするばかりでなく、それを実現させることで何か別のことを隠す、もしくは為そうとするものではないか。そんな懸念すら覚えます。ともに政権をとろうという野心が薄い政党が、合わせて特徴的な提案をしてきたことに、違和感を抱くのです。それこそ『次世代を失望させる』のも、文字1つの違いなのであって、公明を興廃、次世代を辞世代と読み替えることすら、この公約からはうかがえてしまうのでしょうね。