自民党の重点政策について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52667475.html
2014年11月25日 在野のアナリスト
10月の日銀金融政策決定会合の議事録が出てきました。しかし賛成派が「ここで追加緩和しなければ日銀の信任が…」と述べるなど、現状認識が明らかにおかしい、奇妙な言説がまかり通っていたことが判明しています。市場では多くが追加緩和する、とは考えておらず、信任が失われることもない。増税サポートのため、賛成派が押し切った、それが追加緩和の実態でした。
自民が『重点政策』として、公約をだしました。ちなみに『自民党では、実現できる約束こそが公約』だそうです。自民は以前から数値目標、達成時期を明記せず、また達成までのプロセスが不明確です。つまり5W1Hでいうところの、Whatしか書かずに公約とする癖があります。維新の公約ではHowとWhenがない、と記しましたが、自民にはそれすら見当たらないのが実状です。
まず経済再生、財政再建を謳いますが、驚くほど中身がありません。『物価安定目標2%の早期達成にむけ、大胆な金融政策を…』とは、首を傾げます。あえて中央銀行の独立性を無視し、自民の公約に『金融政策』を掲げてしまう厚顔。民需主導の経済成長としながら、その具体的な部分は『法人税減税』というだけ。すでに実施されているものを『強化』、もしくは『引き続き講じる』といった記載はあれど、景気後退に陥った現状を変える提案は何もありません。
驚くのはインフラ整備に関して17頁のうち約1頁を割きます。同じことが農林水産にも言え、もう決まったことだから丁寧に書いた、ということになる。つまりこの分野で、今後期待できる提案はない一方、これらを達成するためには、巨額なバラマキを強いられる。それを請け負うのが、自民の利権の構図に組みこまれた建設業、ということで決定も早く、具体的になるようです。
最も危惧するのが、社会主義体制か? と見間違うばかりの項目があることです。農山漁村の地域マネジメント法人、非営利で公務員でもない、そんな組織をつくるといいます。日銀の金融政策に口をだすのもそうですし、企業のあり方すら政府が決めるような書き方です。
原発は再稼動を明記する一方、地球儀俯瞰外交、政治・行政改革は単なる決意表明であって、政権を担当する2年の実績がない。そもそも行政のムダ撲滅のため、『行政事業レビューシート』を、としますが、それ自体がムダです。2年でできなかったことを、次の任期で達成する、というほどの強い意志は感じられません。同じことは女性活躍や、地方創生にも当てはまり、お題目を掲げて実施します、とされても2年で手すらつけなかったものをどうやって達成するか? この重点政策ではまったく達成に向けての具体性、現実感は得られない内容となっています。
民主の公約はバラマキ、と思いましたが、自民の方がバラマキ度合いは酷い。むしろ記載したことをすべて行えば、財政破綻すら意識するレベルです。特にムダ削減の項目が乏しいのですし、社会保障制度改革も抜本策ではありません。選挙にむけた国民向けに品揃えを増やし、『支援』や『目指す』と書かれても、もうすでに安倍政権は約束破りをくり返しており、国民がこれをみて期待値を高める、ということもないのでしょう。それほど中身の薄い内容なのです。
公約として、パンフレットにすればもう少し面白みが出るのかもしれませんが、文字ばかりの17頁は、国民はみる必要がなく、利権団体がこれをみて固定票をかためてくれればいい、とでも言いたげなほどつまらないものです。安倍氏は朝日新聞のインタビューを受けない、という対応をとり、スポーツ紙や右よりのメディアに積極的にでる、といった戦略をとります。この重点政策も、まさにそうした色のついた、利権団体などを喜ばすためのものなのです。安倍政権では、政権による意図的な優勝劣敗がおきる、それが安倍氏の望む国家への転換、ということでもあるなら、株高で騙されているうちに、国民は不幸へと導かれる、ということでもあるのでしょうね。