各国経済界関係者との会議で、演説する中国の習近平国家主席=9日、北京(共同)
習主席が中国の経済主導権に強い意欲 APEC首脳会議控え演説、米国主導TPPは牽制
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141109/frn1411091618006-n1.htm
2014.11.09 夕刊フジ
【北京=河崎真澄】北京で10日に開幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に、中国の習近平国家主席が9日午前、経済界代表との会議で演説し、「私たちにはアジア太平洋地域の夢を作り出し実現する責任がある」と述べて、経済的主導権の掌握に強い意欲をみせた。
中国が中心となって創設するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じ、途上国の発電や交通などインフラ整備を金融面から支援することで、アジア太平洋地域での影響力を一段と強める意向だ。習氏が国際社会での発言力を高める目的で打ち出している「中国の夢」に重ねた発言だ。
一方で、「アジア太平洋地域で自由貿易に向けた取り組みが次々に出現し、困惑を招いている」などと述べ、米国を中心に交渉が進む「環太平洋連携協定(TPP)」を牽制(けんせい)した。中国はTPPに関心を示しているが、主導権を握れない経済圏構想には批判的だ。
習氏はさらに、「私たちはアジア太平洋で開放型の経済の枠組みをつくらなければならない」と指摘。中国や日米も参加する「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」に重心を移すべきだと経済人に訴えた。
APEC閣僚会議が開かれた8日、日米などは中国やAPECとは距離を置く形でTPP閣僚会合を北京で開いた。米国主導のTPPが“中国包囲網”につながると警戒する中国は、TPPの懸念とFTAAP優先論を繰り返している。
ただ、習氏は、「中国は善隣外交を実行し、すべての隣国と仲良くしたい」とも述べた。安倍晋三首相との首脳会合を控え、対日関係改善も念頭においた。
成長減速がしだいに深刻化しつつある中国経済については、「安定的な発展を保っている」と自信を示した上で、シャドーバンキング(影の銀行)など、「経済リスクは確かにあるが恐れてはいない。中国はリスクに対応する自信や能力もある」などと強調した。