原油安、産油国を直撃=OPEC、なお静観
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_date1&k=2014110800256
2014/11/08-16:42 時事通信
【ロンドン時事】原油価格の下落基調に歯止めがかからない。多くの産油国が国家歳入の大半を石油に依存するだけに、「懐」を直撃している。下落基調を反転させられるのは石油輸出国機構(OPEC)による協調減産だが、27日の総会を前に、OPECはなお静観の構えだ。
国際的な指標となる英国産北海ブレント先物相場は5日、一時1バレル=81ドル台と、6月半ばから30%近く急落し、約4年ぶりの安値となった。大幅な原油安を受け、アフリカ最大の産油国ナイジェリアでは株安も進行。主要株価指数は7月以降、20%以上下落した。同国の2014年度予算は原油価格を77.5ドルと想定して組まれており、一段安は「マクロ経済への懸念を強める」(同国証券会社)ことになる。
有力な石油輸出国ロシアでも、15年度予算における原油価格の基準は100ドル。米欧による経済制裁に圧迫されている通貨ルーブルは、原油安も重しになって過去最安値を更新し続けている。大手格付け会社フィッチ・レーティングスは「原油下落は成長へのリスク」と警告する。
一方で、OPECの盟主サウジアラビアは米国向け販売価格を引き下げ、むしろ原油安を放置するかのような挙に出た。市場では「コストが割高な北米産シェールオイルをつぶしにかかっている」との臆測も広がった。
ただ、独立系石油アナリストのマヌシェール・タキン氏は「一度投資を行えば操業コスト自体は安いので、シェール各社は価格が損益分岐点を下回っても生産を続けるだろう」と指摘。OPECが静観しているのは、「価格下落が本当に供給過剰によるものか見極めるためではないか」と話す。減産は産油国の歳入減に直結するため、OPECとしては慎重にならざるを得ないというわけだ。
バドリOPEC事務局長は6日の記者会見で、「われわれはパニックになっていない。需給に大きな変化は見られない」と強調した。