拉致交渉の失敗
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52665247.html
2014年11月01日 在野のアナリスト
日銀の追加緩和で、世界同時株高を演じています。NY市場の日経平均先物は17000円台に載せており、3連休明けの日本市場は500円以上あげるかもしれません。しかし、緩和の規模に比べてピッチが早すぎます。円安のピッチも同様に、サプライズ効果だけで説明がつきません。
外国人投資家は長いこと日本国債、円売りを仕掛けては敗北を喫してきました。膨大な債務を抱える日本破綻シナリオというものですが、それが今回、円安・株安を引き起こせば達成できるかもしれない。今はそれに向けて、マグマを溜めている恐れがあります。引き金は分かりませんが、自然災害で大きなものがあれば、それこそ絶好のタイミングと売り立ててくるでしょう。御嶽山の噴火ではっきりした、日本はいつ売り崩すタイミングがきてもおかしくないのです。
さらに、安倍政権の無能ぶりを露呈したのが、北朝鮮との交渉です。韓国の専門家から、国家安全保衛部副部長を名乗る徐大河氏が、星一つの少将はおかしい、との指摘がありました。他のメンバーも、北朝鮮の上層部とはほど遠く、対外的に名と顔が一致するのは一人だけ。階級も低く、実質的な権限もないメンバーと、日本の伊原アジア大洋州局長が、わざわざ平壌に行って、会談させられた。これは、北朝鮮が日本を格下と看做して交渉していることを、日本側としても認めて外交している、ということを意味します。これは極めて由々しき事態です。
さらに安倍氏は「半歩前進」や「新しい角度から調査深める」、「ゼロベースで調査を始める」などと述べますが、この3ヶ月をムダに費やしたばかりでなく、今からゼロベース? と誰もが感じるでしょう。これは北朝鮮のゼロ回答を、日本が頼みこんで「もう一度調査して下さい」と言わなければ、こんなやりとりにはなりません。つまり、伊原氏ら政府代表団が、このままでは日本に帰れないから手土産を持ち帰ろうとして、こんな報告になったことが明白なのです。
つまり、わざわざ平壌まで出向き、格下と交渉させられたこと。ゼロ回答だったこと。調査継続をお願いして、その結果こんな報告をしたこと、これらすべての面で日本外交の完敗です。特別調査委員会の委員長が、少将クラスで権限もない、となれば、当然のように調査結果にも期待できません。さらに、報告の期限を設定できなかった。何から何まで外交としては失敗です。
制裁を解除してから4ヶ月、無為に日々を費やしたばかりでなく、こんな報告をうけとって成果とする。日本中の期待を煽ったことといい、拉致交渉は安倍政権にとって全面的な失敗として、歴史に記録されたことは間違いありません。それほど酷い内容です。拉致被害者家族が、懐疑的にうけとったことも当然で、よくこんな報告を、恥ずかしげもなくしたというレベルです。
それでも拉致交渉は政府に頼らざるを得ない。しかし、安倍政権では解決不可能ということがはっきりした。それは交渉担当者から、外交能力が不足していて、相手との信頼関係すら築けていないのですから。これまでも地球儀外交などと浮かれて海外に出向きながら、何の成果もなく戻ってくるだけ、の首相の下ですから、拉致交渉も何の成果もなく戻ってくる、ということにもなるのでしょう。安倍政権では解決できない、なのに安倍氏が被害者家族に「安倍政権で解決する」ということ自体、不親切であり、相手のことを思いやっていない、証拠なのでしょう。正しい情報を伝えない、それは外交交渉ですから、一時は嘘をついても将来に期待がもてるのならまだしも、その展望もなく嘘をつく政権には、失望以外の何も感じさせないのでしょうね。