[写真]世界銀行では、西アフリカ地域におけるエボラ出血熱による経済的損失は最大で326億ドル(約3兆5000億円)にのぼるとしている(2014年10月14日シエラレオネで撮影、ロイター/アフロ)
エボラ出血熱 経済に与える影響は
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THE PAGE 10月25日(土)13時0分配信
アフリカを中心にエボラ出血熱が猛威を振るっています。今のところ経済的な影響は限定的という見方が大半ですが、先進国内で2次感染が拡大するような事態となれば、大きな影響が出てくる可能性があります。
エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症です。このウイルスに感染すると、最大21日程度の潜伏期間の後、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状が出てきます。さらに、嘔吐、下痢、出血(吐血、下血)などの症状が現れ、最悪の場合、死に至ります。
エボラ出血熱は空気感染しないといわれていますが、症状が出ている患者の体液などからは感染する恐れがあります。このため、患者は基本的に隔離され、治療にあたる医療関係者は十分な装備のもとで作業を行う必要があります。
今年3月に西アフリカのギニアで感染拡大が観察され、その後、リベリア、シエラレオネなどに感染が拡大。現在では1万人近くが感染し、うち約半数が死亡しています。感染拡大は止まっておらず、WHO(世界保健機関)ではさらに感染が拡大する可能性があるとして警告を出しています。
またアフリカでの感染拡大にともない、先進国での2次感染が一部で発生しています。スペインでは、リベリアで宣教活動中にエボラ出血熱に感染し、帰国後、治療を受けていたカトリック神父が死亡したほか、神父の看護にあたっていた看護師がエボラ出血熱に感染しています。また米国では、テキサス州ダラスの病院で感染していたリベリア人男性の治療に携わっていた看護師や、ギニアでエボラ出血熱の患者を治療していた医師が同様にエボラ熱に感染しています。
世界銀行では、西アフリカ地域におけるエボラ出血熱による経済的損失は38億ドル(約4000億円)から最大で326億ドル(約3兆5000億円)にのぼるとしています。先進国に住む私たちからみるとそれほど大きな金額には見えませんが、西アフリカのGDPはわずか7400億ドル(約79兆円)しかありません。被害額はGDPの4.4%を占めることになります。
ちなみに、東日本大震災の被害総額は約17兆円といわれており、これは日本のGDPの3.6%に相当します。国情が違うので単純比較はできませんが、西アフリカ地域では、すでに東日本大震災を超えるレベルの被害となっている計算です。
ウイルス感染が猛威を振るい経済的な損失が出たケースとしては、2002年から2003年にかけて中国で大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)があります。アジア開発銀行によると、SARSによって中国本土では180億ドル、香港では120億ドルの経済的損失が出たそうです。当時の中国のGDPは1兆6500億ドルですから、こちらはGDPの約1%ということになります。
もし先進国で2次感染が拡大する事態となれば、同じような規模の損失が出てくることになるかもしれません。ちなみに1918年に世界中で大流行し、5000万人の死者を出したといわれるインフルエンザ(スペイン風邪)では、世界のGDPの8%に相当する損失が発生したともいわれています。