政治への不信とテロリズム
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52664440.html
2014年10月23日 在野のアナリスト
カナダ議会に、イスラム国に参加する意思のあった犯人が侵入、銃を乱射しました。日本で扱いが小さいのは、海外で起きた事件だから、というより宣伝効果を意識したのでしょう。先に、イスラム国に参加する意思のある北大生もいましたが、これが宣伝となり、日本人の参加が増えるかもしれない。社会への不満、将来への不安、それは日本でも着実に醸成されています。
北大生の事件で、公安が不当な捜査をした、とジャーナリズムが明らかにしています。日本の公安としては、イスラム国の情報もなく、これ幸いと事件に託けて情報収集したものです。ジャーナリストにヒザを屈して教えを請う、というのはプライドが許しません。しかし捜査が執拗だからこそ、公安も情報収集に必死だというのが伝わり、日本で同様なことが起きたとき、対応できるのか? との不安も生じますが、国民の不満を高める報道が国会から出てきました。
経産相に就任したばかりの宮沢氏が、政治活動費としてSMバーの領収書を添付していた、という記事。しかも「自分ではなく秘書のような事務所関係者が行った」と、説明が曖昧です。昔からこうした醜聞を性事活動、と呼んだりしますが、閣僚になった途端、調査された途端にボロがでる、これではその地位が経済産業大臣ではなく、軽薄短小大臣となってしまいます。
しかも前任の小渕氏はボロがでるわ、でるわ、という事態で、カレンダーを配っていた、財団法人に売却された家に母親が家賃も払わず住んでいる、など遵法意識の欠片すら感じられません。今から家賃を払う、としていますが、息のかかった財団法人なら家賃分を献金で返すかもしれません。電力会社方式で給与に献金分を上乗せ、という形なら何でもできてしまえるのですから。そうした不透明さを残せば、幕引きにすらならない。結果的に小渕氏が首相になる目は、完全に消えたのでしょう。それどころか、政治家生命の灯火すら吹き消されたのかもしれません。
増税議論で、自民の一部議員が18ヶ月の先延ばし、という話も出ていますが、統一地方選、参院選、前倒しの衆院選を見越して、18ヶ月としているのでは? との指摘もありますが、その通りです。アベノミクスを成功させる会、なるものの意見ですが、経済の関係者の間では、すでに安倍ノミクス不況とすら囁かれます。そこに来て、増税を政治の都合で右往左往させようとしている。結局、自民はオール増税賛成で、景気への配慮など微塵も感じらないのです。
政府開発援助(ODA)大綱の改定案が出され、平和と安定の確保は開発の前提、として民生や災害救助なら他国軍への支援を認める、とされました。民生、という曖昧さの残る基準をかかげた時点で、日本がODAとして軍事支援できてしまう。今後は米軍が海外で駐留する経費すらも日本のODAで拠出される、ということになりかねません。国民にはお金がない、医療費、介護費、年金を削ると脅しておいて、ODA大綱で海外へ、特に軍事支援にお金を拠出してしまう、そのバランス感覚は解せません。それこそイスラム国を空爆する米軍支援、となれば日本もテロの標的です。
政治家が歓楽街に出かけ、それを政治活動とする。一方で国民は、明日をも知れない生活に喘ぐ。そんな中にテロリストの萌芽があります。事実を公平に伝えようとするジャーナリストを叩き、政府広報のような記事ばかりを垂れ流す記者は、安穏と生き残れる。政治を変えたくても今は手がないだけに、益々閉塞感がただよう状況であり、景気も失速する中、不穏になってきたのは政界ばかりでなく、国全体という認識をもつべきなのでしょうね。