閣僚二人の辞任
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2014年10月20日 在野のアナリスト
小渕優子経産相と、松島みどり法相の2人が今日、辞職しました。小渕氏の会見は説明になっておらず、収入と支出には依然として差があり、公選法違反の疑いもあるのに「自分でも疑念をもっている」と他人行儀に終始しました。政治資金規正法なら会計責任者に罪を被せられますが、公選法は連座制ですから議員辞職は免れない。自身のこととしてしっかり対応しなければいけないのに、第三者委員会という外部委託してしまう。それならいっそ官憲の捜査に委ねます、といった方がよほどすっきりします。これも誰かの入れ知恵、と思うと政治家の力量も知れます。
2007年に後援会向けに観劇を始めたのも、恐らく誰かの入れ知恵だったのでしょう。民主党旋風が吹き荒れ、自民有力議員でも落選の怖れがある中で、古い観劇会などの手法により紐帯を強めようとした。なので、小渕氏が古い秘書に丸投げしていた、というイイワケは通じにくい。2000人の参加で12000円の会費なら、支払いとの差額は未だに1000万円に及びます。気になるのは、消費税の扱いはどうなっているのか? さらに旅行業としての申請も必要ではないか? ツアーを企画し、販売しているのです。単なる取次ぎ、とするには規模も大きく、また一枚紙のパンフも作成しており、純粋に商業活動にも見えてしまいます。明治座が割安で場所を提供した、ということならそれは便宜供与、贈賄にあたるのでは? との話もあって、この問題は尾を引くのでしょう。
松島氏は半ば団扇、と認めているフシもありますが、団扇議員は副大臣クラスにもいるとされます。この問題も尾を引きそうですが、それ以上に問題なのが、新閣僚の上川法相と宮沢経産相です。どちらも神道政治連盟懇談会、という神政連に近い存在であり、いわば安倍氏と主張の近い、おトモダチです。神政連に牛耳られている、とされる安倍政権で、さらに神政連関係者が増えてしまった。これは一つの思想、主張に染まっていることを意味し、それは国民の大多数の意見との乖離があっても、その思想に流され、修正が利きにくくなる、ということにもなります。
コメント欄には記載しましたが、小渕氏は自民議員にさされたのではないか? との噂もあります。つまり今年に入って、内閣改造というエサをチラつかせ、党内の求心力を保ってきた。安倍氏自らが認めるように、改造しなければ暴動が起きそう…というぐらい、自民内には緊張が高まっていた。その結果がおトモダチ内閣であって、党内に失望を誘うこととなり、目玉議員である小渕氏の醜聞をリークした、という話です。つまり安倍氏の下ではもう閣僚になれない議員が山ほどおり、嫉妬や羨望から、自民議員の間から閣僚をさす行為が横行し始めたのではないか?
それは第一期安倍内閣と同様、今後も閣僚が醜聞まみれになる、ということを意味します。そうした意味で、反安倍勢力の取り込みを図るか? 新閣僚に注目していましたが、またおトモダチ。これで安倍引きずり下ろしの烽火が、自民党内に上がったのかもしれません。元々、党内基盤が脆弱で、派閥の力も衰え、支持率が下がれば党内の憤懣を抑えようがない。塩崎厚労相のメール問題、江渡防衛相の政治資金問題、女性3閣僚の特定団体との関係、なぜか次々と出てくる醜聞、その背景にあるのは、どろどろとした人間の浅ましさなのかもしれません。
今日の株式市場は、女性2閣僚の辞任をうけても今年最大の上げ幅をみせました。反動が出やすい局面でしたが、一部でGPIFの株式運用比率が25%になる、とこれまで20%と報じられたより、大きな金額が報じられ、一段高となっています。しかしこうした市場を恣意的に扱う行為が最悪で、長期投資家は嫌気がさし、ますます逃げ出します。25%になったとて、外国人投資家が昨年買った分をすべて売れば、その金額を越えてしまうのですから、短期の値動きを気にするより、長期の成長により呼びこめないのが、安倍政権でみられる市場操作の手法、ということもいえます。
早期に幕引きをはかった、という顛末にはならず、第二幕の開演を早めるだけ、との話もあります。自民一強だからこそ始まった内輪もめ。実はその舞台裏の方がおもしろい、ということなら、幕をひいている間の方がトラブルも生じやすく、支持率低迷とともにそうした自民党内の茶番、観劇を国民がみせられる、という話にもなってくるのでしょうね。