株式市場の動き
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52664089.html
2014年10月19日 在野のアナリスト
先週末、世界の株式市場は同時反発しました。きっかけは下げすぎで、欧州が反発したことに加え、米国の住宅着工、消費者態度指数などが予想を上回り、楽観が広がったことです。これでムードが変わればよいですが、まだ下げ局面の反発に過ぎない可能性もあり、用心が必要です。何より、来月半ばまでヘッジファンドの換金売りは続くとみられ、日本でもそうであるように、追証発生に伴う売りが嵩むなど、これだけ相場が急変すると、不意の売りも観測されます。
しかも米市場で気になるのが、半導体株への不安が現実化していることです。Intel決算はよかったものの、他はまるでダメ。しかしAMDなど、同時に人員削減計画を発表したところは何とか上げています。この人員削減は、好調だった米国の労働環境に波紋を投げかける恐れもあり、それは原油価格の下落で、今年のシェール革命における設備投資計画が狂ってきたのと同様、米国の労働市場にも変化があらわれるかもしれません。そうなると、世界全体が失業に喘ぐ時代の到来です。
日本市場にも変化がみられます。それは債券市場であり、世界と同様に債券価格が上昇、金利が低下しています。しかし日本国債のCDSが上昇、つまり破綻リスクがじわりと上がったことを意味します。ここに、安倍政権の退陣を織りこみ始めた、との説があります。第一次安倍政権と同様の流れになってきた、という認識が広がり、レイムダック化が早いと市場はみています。
実際、小渕経産相の問題ばかりでなく、おトモダチ内閣と揶揄される改造人事は、すこぶる海外勢にも評判が悪く、政策実行に疑問符がついています。そこにきて相次ぐ閣僚辞任となれば、消費税再増税はおろか、法案が一本も通らなくなる。財政再建も、景気浮揚も成し遂げられない。そんなリスクが、債券買いという裏側で、リスクとしてCDS買いとなって現れたのです。
株式市場の変調も、日本の政変を促します。今は急速な動きで、自律反発も入りやすい地合いですが、市場でこれから懸念されるのは、自社株買いをした企業の保有株式、その価値の目減りです。米国では自社株買い、株価上昇という流れで来ており、問題にならなかった。しかし日本ではそれほど株価が上昇しないうち、調整局面を迎えている。企業はいつか、その目減りした資産を評価しなければなりません。それは償却するまで続きます。以前、日本では株式持合いによる弊害が指摘されていましたが、今度は自社株で、同じ問題を引き起こしそうです。
14000円台なら、それほど大きな問題にはならないでしょう。しかし世界経済の変調は、必ず業績にも影響してくる。未だ日本企業は強気の業績見通しを堅持していますが、中国の貿易赤字など、内需、外需が崩れていることは鮮明であり、資産効果のない米国にも期待薄です。そして日本の政局の混迷が、海外投資家の手控え要因となるなら、さらに日本経済は混乱しそうです。
当面、日本を買える材料はありません。それは日銀の追加緩和が打たれたとしても、GPIF改革がすすんだとしても、当面の下支え要因になりますが、問題は業績です。いつか肝心の業績も見直すでしょう。その時期は、まさに10月下旬から11月半ば。2Qの結果とともに発表されることになります。更なる海外勢の売りを呼びこむのか、それとも見直し買いを入れるタイミングがくるか。今回は特に要注目となってくるのでしょうね。